1 いつも署名運動にご協力賜っておりますことに厚くお礼申し上げます。
このたび、次の皆さまにご賛同者になっていただきました。
辻野クリニックさま
つがわ歯科・矯正歯科さま
一般社団法人brave actionさま
北上ビルメン株式会社さま
株式会社クローバーさま
中野宏信さま(CITIC Capital Partners Japan Ltd日本代表)
株式会社アイビックスさま
廣田賢一さま(ブロシード調査事務所代表)
東洋警備保障株式会社さま
山口千夏さま
石田敏子さま
後藤佳雄さま
迫本淳一さま(松竹株式会社社長)
細川珠生さま(政治ジャーナリスト)
誠にありがとうございます。心よりお礼申し上げます。
2 2014年11月21日、大阪府茨木市で、3歳の紗弥音ちゃんが両親から餓死させられるという事件が発覚しました。6月15日に衰弱死させたとして、11月20日殺人容疑で両親が逮捕されました。同年齢の子どもの平均体重の半分しかなく、胃からはアルミ箔やろう、玉ねぎの皮が残っていたという悲惨さです。母親は現在19歳で若年妊娠・出産で、紗弥音ちゃんは先天性ミオパチーという病気があったといいます。夫とは再婚で紗弥音ちゃんは前夫との子で、今の夫との間に1歳の長男が生まれています。
また、同月19日夜、新潟県燕市で3歳の心優ちゃんが24歳の母親に橋の欄干から川に落とされ殺害されるという事件が発生しました。母親は2月に夫の暴力が原因で離婚し、心優ちゃんと交際相手の男性と3人暮らしで、市に子育ての悩みを相談していました。
いずれも、子育て困難と判断され、虐待リスクも少なくないと判断される家庭ですが、行政側がどうフォローしていたかが問題となります。報道によれば、
○紗弥音ちゃん事件では、今年2月に主治医が診察したときは異常がなかった、また、昨年10月に予防接種した際に居合わせた人が体のあざに気づき市の担当者に教え、市はすぐに保健所に通報した、紗弥音ちゃんの難病は国の特定疾患に指定され、保健所がおよそ半年ごとに面会して発育状況などを確認していたから、21日に定期面会があり母親は紗弥音ちゃんを連れてきたが、あざはなかった、体重も約11キロと平均的で、問題はないと判断した、さらに保健師は今年4月電話で次の面会の都合を尋ねると、母親は「妊娠していきにくい。自宅訪問も勘弁して」と答えたので秋に延期したという、とされています(2014年11月21日毎日新聞、朝日新聞)。
○心優ちゃん事件では、母親が9月に市の窓口に訪れて「子どもが夜に泣いて自分の時間がない。うざくなって放置してしまう」と悩みを相談し、家庭児童相談員が継続的にかかわり、10月には心優ちゃんが保育園で発熱した際母親は「いっぱいいっばいだ」と迎えに来ず、市は一時保護を児相と検討したが、祖母が迎えに来るなどしたため見送ったとされています(11月21日日経新聞電子版)。
そうだとすると、
○紗弥音ちゃん事件では、2月から6月の間に、市、保健所、児相、警察、医師、民生委員・児童委員などの誰かが家庭訪問し、目視で紗弥音ちゃんを見ていれば、紗弥音ちゃんの異常な衰弱を発見し、児相が適切に判断することが前提ですが、児相により一時保護することができたはずです。家庭訪問し、目視で紗弥音ちゃんの安否を確認しなかったことが最大の原因です。保健師が4月に面会を拒否された時点で危険は明らかになっていたと思います。
○心優ちゃん事件では、母親がSOSを何度も出しているのですから、児相は一時保護すべきだったでしょう。しないのであれば、もっと頻繁に家庭訪問し、母親の相談に乗り、励まし、支援するべきだったでしょう。市と児相だけでは人手不足であれば、警察も参加すれば、頻繁な家庭訪問は可能だったでしょう。
またまた、情報を抱え込み、必要な連携をせず、頻繁な家庭訪問もせず、かといって一時保護もせず、みすみす子どもを虐待死させてしまいました。
児相と市町村、警察で情報を共有し、人員を出し合ってできるだけ頻繁に家庭訪問し、目視で子どもの安否を確認し、親の指導・支援をする。それでも子どもの安全が脅かされそうであれば一時保護する。これしか子どもの命を守ることはできないのです。
そのためには、私どもが提案している法改正案のとおり、
○児童相談所、市町村、警察は、虐待のおそれのある家庭に関する情報を共有するとともに、虐待を受けながら在宅で親と暮らしている子どもについて、連携して危険度に応じて計画を立て、できるだけ頻繁に家庭を訪問し、子どもの安否を目視で確認するとともに、親から困りごと相談に応じるなど必要な子育て支援を行うものとする。
○児童相談所は、一時保護の判断に当たっては、子どもの安全を最優先とし、保護した子どもを親に引き渡す場合には、警察、市町村の協力を得て、安全確保計画の策定及び継続的な安否確認と親への指導を行わなければならない。
○児童相談所は、医師の虐待の疑いが強いとの見解には原則として従うものとし、虐待通報した保育所・幼稚園・病院・市町村等の意見を尊重するものとする。
という対応が必要であり、そのためには、児相、市町村、警察にかかる対応を法律で義務付けしなければなりません。
現在これらの機関は全くこのようなことをしておらず、おそらく、紗弥音ちゃんの母親に面会を拒否された保健所が児相や警察に連絡して対応するように頼んでも、これらの機関は組織として何もしなかったのではないかと思います。心優ちゃん事件でも今のままでは、心優しい警察官であれば別ですが、組織としての警察は動かなかったと思います。燕市は児相に一時保護を打診したのではないかと推測されますが(厚労省は違うのであればご指摘ください)、児相はどのように判断したのでしょうか。
何度も繰り返しますが、法律で義務付けされない限り、これらの機関が人手を出し合って連携しての対応はありえず、児相の積極的な一時保護、通告した市町村の意見の尊重は期待できません。悲しいかなそれが現実なのです。
二度とこのような悲惨きわまりない、子どもが親に餓死させられる、川に落とされて殺されるという事案は防がなければなりません。本来行うべき行政・警察が何ら有効な対策を講じようとしないのですから、政治が法改正をして行政・警察にやらせるしかないのです。厚労省等が私どもの法改正案を受け入れると判断したとはいまだ聞いておりません。厚労省の専門委員会がいい提言を出していただけることと思いますが、法改正を実現するためには、何よりも国民の意思で政治を動かすしかないのです。
是非とも法改正を実現させなければならず、そのためには、国民が政治に強く求めていくしかありません。子どもは助けを求めることも、声を上げることもできないのです。大人が声を上げず、大人が傍観し、黙殺し続けるならば、紗弥音ちゃん、心優ちゃんのような子どもがこれからも何人も何十人も何百人も殺され続けるのです。こんな社会でいいのでしょうか。是非とも署名活動にご協力賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
しかし、それにしても厚労省等は私どもの案を受け入れないのであれば、何かよりよい対案でも打ち出すつもりなのでしょうか? まさかよりよい対案もないまま拒否するということはありえないと思うのですが・・・。そんなことをすれば、救えるはずの子どもの命を怠慢により救うことをしななかったということで、本来であれば大変な責任を負うのですが(こんなことに裁量などあるはずはありません)、ご承知のとおり、国家賠償法、刑法の業務上過失致死罪など現行法規では不作為の役人の責任が追及されることはまずありません。役所内部でも何も問題にされません。NPOの要望や署名活動を真摯に受け止めて対応する方が馬鹿かと評価されるのでしょう。
今回の役所の対応をみて、あらためて、会社法で株式会社の取締役・監査役に課せられている善管注意義務とその義務を怠った場合の損害賠償責任、株主代表訴訟のような責任追及制度及び子どもをはじめ国民の命にかかわる事柄ついて尽くすべき義務を尽くさなかった場合に容易に立件できる特別の犯罪類型(業務上過失致死傷罪の特別類型―エイズ問題で当時の厚生省の課長が業務上過失致死罪で有罪とされましたが多分この1件のみで、ほとんど機能していません)を導入する必要があるのではと思うようになりました。