ブログ28 政府に児童虐待防止対策に関する副大臣等会議が設置されました

 2014年8月29日、「政府は29日、児童虐待防止に向け、厚生労働省や文部科学省、法務省、警察庁など関係省庁の副大臣らによる対策会議を首相官邸で開いた。省庁間で情報共有を徹底して課題を話し合い、政府一体となって対策を進めるのが狙い。世耕弘成副官房長官は冒頭「児童虐待が深刻な状況だ。関係省庁が連携し効果的な対策を打ち出していきたい」と強調。虐待リスクがある所在不明児についても把握の方策を検討する考えを示した。」と報じられました(同日付け新潟日報電子版)。
 各方面にいろいろと訴えてきた私どもにとり、大変うれしく思っております。本ブログでしつこいほど述べてまいりましたが、わたしどもは「子ども虐待死ゼロ」を目指しています。ほとんどの方も同じ思いでおられると思います。
 わたくしどもが考える子ども虐待の現状と問題点、必要な法改正項目は次のとおりです。(なお、同日、本年5月1日現在所在不明児童は約2,900人と発表されました。)

第1 現状
 ・虐待死させられる子どもの数は、明らかなものだけで年間約100人
  0歳児が最も多く4割を占める(心中以外)
 ・最悪殺されている可能性のある所在不明児童は少なくとも約2,900人
 ・児童相談所、市町村、警察が関与しながら虐待死を防げなかった事例多く
  これらの機関の無関心、消極的姿勢と情報共有・連携のなさが目に余る

第2 問題点
1 児童相談所、市町村、警察の腰を引いた姿勢、個人情報保護・守秘義務を名目とする情報共有・連携拒否がまん延
・法律に虐待情報・所在不明児童情報を共有し、連携して対応することを義務付ける規定なし。
 一時保護の判断基準もなく親の言いなりになること多い
2 人員・体制が弱体で24時間対応もできず、介入と援助という相対立する業
務を担い、虐待対応に適性のない児相に責任が集中し、案件を抱え込む一方、体制的・能力的に適性のある警察に責務規定なく児相に対応を丸投げ
3 全国データベースがなく問題ある家庭が転居した場合、対応不能になる
4 虐待には至らないがリスクのある妊産婦のケースでの医師の通報規定なし

第3 法改正の目的
虐待死させられる子どもゼロ、及び虐待される子どもをできる限り少なくし、できる限り多くの子どもが前向きに生きることができることを目指す(結果として、虐待による社会的コスト(年間1.6兆円との研究あり)の削減と少子化の歯止めが期待できる)

第4 法改正項目
1 児童相談所・市町村・警察が連携した被虐待児の保護活動の強化
2 市町村・警察・児童相談所が連携した所在不明児童の発見・保護活動の強化
3 児童相談所の一時保護を子どもの命を最優先に判断することを義務付け
4 医師と連携した妊娠中・出産直後からの子育て困難な妊産婦の支援
5 虐待を受けた子どもへの精神的な治療・ケアの実施

 今回政府に設置された会議でこれらの法改正が取り上げられるよう、署名活動を含め様々な形で働きかけを行ってまいりたいと考えております。繰り返し述べていますとおり、児童相談所、市町村、警察の「情報共有」「多機関連携」は法律で義務付けられなければ、全く実現しません。これまで虐待死事件が起こるたびに設置された第三者委員会の提言と同様、もし本会議で単に「情報共有」「多機関連携」がお題目として唱えられるだけでは何も変わりません。法改正が是非とも必要なのです。
 そういう意味で、今回、世耕官房副長官が議長を進め、内閣官房、首相官邸直轄で対策が進められることに強く期待しています。厚生労働省、警察庁、文部科学省などがばらばらに検討するのでは、いつまでたっても情報共有も連携も進まないのです。
 ようやくここまで来ました。是非、引き続き、ご理解ご支援賜りますようお願いいたします。