1・児童ポルノはいつまでも続く性的虐待ー今国会で単純所持の禁止を!

投稿日:2013年1月15日|カテゴリ:有効な対策を講じない政治・行政への怒りのブログ

わが国は「児童ポルノ天国」と諸外国から厳しい批判を浴びています。児童ポルノは「諸悪の中の最大の悪」です。児童ポルノの多くは子どもに対するおぞましい性的虐待を映したものであり、そこに映っているのは犯罪そのものです。そしてその対象は今や乳幼児にまで拡大しています。

子どもを児童ポルノの被写体とすることは、きわめて深刻な性的虐待です。児童ポルノは子どもに対するおぞましい犯罪行為を写したものであり、児童ポルノを製造する時点で、子どもに対する強姦、虐待が行われているだけではありません。児童ポルノの多くは、売買の対象とされ、性的虐待を受けている子どもの顔がさらされたままの画像がインターネット上に流通しているのです。そのため、幼くして性的虐待を受けた者の苦しみは生涯続きます。「児童ポルノを楽しむだけでは誰も傷つけていない」ことは決してないのです。抵抗することのできない子どもに苦しみを与え、未来を奪うような児童ポルノの存在を社会が容認することは、到底許されるものではありません。

このような児童ポルノによるすさまじい虐待をなくすためには、諸外国と同様に児童ポルノを楽しむために所持することを規制し(単純所持の禁止)、とくにインターネット上に流通させないようにすることが必要です。

ところが、日本は児童ポルノの単純所持の禁止はされていません。わが国で1999年に児童買春・児童ポルノ禁止法が制定されましたが、児童ポルノの単純所持(他に提供する意図のない所持)は禁止されず、写真・ビデオと同程度に写実的に描写されたCG(コンピュータグラフィックス)や漫画は規制の対象となっていません。世界的にみれば児童ポルノは所持しただけで犯罪であり、ほとんどの欧米諸国では単純所持が禁止され、G8で禁止してないのはロシアと日本だけです。また、CGや漫画も多くの国で規制の対象とされ、2009年8月、わが国は国連女子差別撤廃委員会からこれらを禁止することを要請されています。2007年の世論調査では大多数の国民が児童ポルノの単純所持の禁止(90・9%)及びCG・漫画も規制の対象にすること(86・5%)に賛成しています。

2009年6月、自民党・公明党からは単純所持を禁止することを内容とする児童買春・児童ポルノ禁止法の改正案が国会に提出されましたが、民主党は「児童ポルノ」の範囲を狭めたうえに、単純所持の禁止に反対し、いまだに規制が実現されていません。

筆者は平成22年3月31日、弁護士有志とともに、「児童ポルノを許さない社会を実現するための弁護士フォーラム」を結成し、児童ポルノの単純所持の禁止を中心とする児童ポルノを許さない社会とするための緊急アピールを発出しました。筆者たちは、緊急アピール発出後、各要請先に直接出向くなどして、対策を講じるよう要請しました。民主党に対しては党の担当副幹事長である樋高剛議員に直接面談して法改正を強く要請しましたが、まったく無視されました。民主党は、賛成するどころか、平成23年8月、単純所持を禁止せず、かつ、規制の範囲を従前の民主党案より狭めるという内容の法改正案をまとめ国会に提出しており、児童ポルノの規制を今よりも緩める考えすら打ち出しています。

2012年12月、政権交代し、自民・公明政権になりました。今国会で是非とも児童ポルノの単純所持の禁止を実現させねばなりません。