1 私どもは、2023年12月、ジャニーズ事件の被害者の男性が誹謗中傷を苦にして自殺されたことを受け、「インターネットを利用した誹謗中傷の処罰及びプロバイダ等の責務の特例を定める法律(仮称)」を制定し、SNS等による誹謗中傷の厳罰化およびSNS事業者に対して誹謗中傷の投稿の削除及び発信者情報の開示を義務付けることを国に要望するとともに、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」元代表の平本さんとともに、総務省のパフリックコメントに対しても同様の意見を提出しました。
https://digital.asahi.com/articles/ASS1L6GRGS1LUTIL00N.html ジャニーズ事件を機にインターネットを利用した誹謗中傷の処罰及びプロバイダ等の責務 |
しかし、国には全く受け入れられていません。総務省は、2024年6月にプロバイダ責任法を改正しましたが、事業者に削除や開示請求に応じる義務付けはせず、運用状況の透明化などのおよそ効果が期待できない法改正をし、法務省には厳罰化に向けた法改正をしようとの動きもありません。
2 実効ある対策を国が講じないまま、その後もSNSによる誹謗中傷は激しさを増し、昨年は兵庫県知事の百条委員会の設置、知事の再選等をめぐり双方の立場から誹謗中傷が激化し、本年1月には元兵庫県県議の方が自殺されるという事態に至りました。また、タレントの中居氏とフジテレビの女性社員とのトラブルをめぐり、被害者の女性をはじめフジテレビの社員の方らにも多数誹謗中傷が寄せられるなど極めて深刻な状況が続いています。
https://digital.asahi.com/articles/AST1X1QMYT1XUTIL009M.html |
3 最近では、何の罪もない方、とりわけ自殺に追い込まれたジャニーズ事件の被害者の方をはじめとして多くの被害者の方にまで誹謗中傷が寄せられており、到底放置できない状況です。なぜ、国は実効ある法制度を整備しないのか。マスコミ各社も社説や記事で「許せない。誹謗中傷。」などと報じますが、そんなことをつぶやくだけで収まるはずもないのです。もちろん法整備は国の責任ですが、マスコミも「誹謗中傷は許さない」との社説や記事でつぶやくだけでなく(つぶやくだけではSNSの投稿と同じ)、実効ある法改正を国に求めるキャンペーンでもやってもらえないかと思います(私どもの案でなくとも構いません。とにかく実効性のある案で)。マスコミにはSNSとは違う存在意義があることを見せてもらいたいです。
特にフジテレビさんには、多くの社員の方が被害にあっておられることもあり、被害者である多くの社員の方を守るためにも、木村花さんの自殺はフジテレビの番組に出演したことが原因であったことからも、法整備を求める要望活動に賛同していただけないかと思う次第です。同様の活動をジャニーズ事務所にも期待したのですが、誹謗中傷はやめましょうという呼びかけだけだったですね。誹謗中傷を招く原因を作った企業には、呼びかけるだけでなく、より積極的な活動が求められるのではないかと思います。
4 最近大きく報道されただけでも、誹謗中傷を苦にして、女性プロレスラーの木村花さん(2020年)、ジャニーズ事件の被害者の男性(2023年)、元兵庫県県議(2025年)などの方々が自殺に追い込まれています。実際にはもっと多くの人が自殺に追い込まれているのではないかと推測されます。子どもの自殺もSNSによる誹謗中傷、いじめが原因であることかなり多いのではないでしょうか。国が何もしないままでは、さらに誹謗中傷により自殺に追い込まれる方がいつまでも後を絶たないということを強く懸念いたします。