ブログ220 東京都で児童相談所と警察とのリアルタイムでの情報共有システムが来年度から運用されることになりました

1 9月26日の東京都議会で、都民ファーストの菅原直志議員から「児童虐待相談が年々増加し深刻化しており、こうした状況に対して迅速かつ的確に対応するためには、児童虐待情報を児童相談所と警察が即時共有するためのリアルタイムでの情報システムの構築が重要です。都として、導入を急ぐべきと考えますが、知事の見解を伺います」との質問がなされ、小池知事が、「児童相談所における虐待相談件数は、増加の一途を辿っている。今後、児童相談所と警察がより迅速かつ緊密に連携して対応できるよう、児童虐待に関する情報をリアルタイムで共有できる仕組みを構築し、来年度から運用を開始する。こうした取組により、警察との連携を一層深めながら、児童虐待防止に全力で取り組んでいく。」旨ご答弁されました。
 誠にありがたい限りです。東京都においても、児童相談所と警察とのリアルタイムで虐待情報を共有するシステムが来年度から運用されることになりました。東京都の児童相談所にご理解いただき誠にありがたく、ご尽力いただいた菅原議員はじめ関係する皆様に心から厚く感謝申し上げる次第です。

2 これまでの児童相談所が関与しながらみすみす虐待死に至らしめた極めて多くの事件のほとんどで、児童相談所が警察と案件を共有せず、わずかな情報に基づき、「虐待ではない」「危険はない」などと甘すぎるリスク判断をし、必要な家庭訪問もしないまま虐待死に至らしめています。
リアルタイムでの情報共有システムができることにより、すべての事案につき互いに保有する情報が共有され、より正確に虐待リスクを判断できるようになるとともに、児童相談所と警察が連携して、児相だけでは対応困難な危険な案件につき警察が家庭訪問するなどして、危険な家庭にいる子どもの命を救うことができるようになります(システムが整備されないままでは、膨大な虐待案件につきリアルタイムで情報共有することは到底不可能で、かつ、電話やファックスのやりとりで連携して対応することも著しく困難でできるとしてもごく一部に限られます)。

〇2024年5月の愛知県犬山市奈桜ちゃん虐待死事件にみられるような、シングルマザー家庭における同居男による虐待が懸念される案件など児相だけでは対応困難と認められる危険な家庭について、システムの整備によりリアルタイムで警察が把握することができ、警察が直ちに家庭訪問するなど、今まで以上により連携し子どもを虐待から守ることが可能になります。本事件を機に愛知県大村知事に要望したところ直ちに受け入れていただき本年度補正予算でシステム整備を発表していただきました。

〇2023年6月の神戸市西区修ちゃん虐待死事件にみられるような、子どもにあざがあり、保育所に登園しなくなり、かつ危険な家庭と容易に判断ができる事案について、児童相談所が不可解にも「虐待ではない」「危険はない」などと判断し、警察への情報提供を不要と判断し、みすみす虐待死に至らしめたような案件についても、自動的に情報共有されることになるため、警察が危険と判断し対応することにより、子どもの命を救うことが可能となります。本事件を機に神戸市長に要望するも受け入れられませんでしたが、兵庫県知事には直ちに受け入れていただき、兵庫県では本年10月から運用開始。

〇2022年7月の神奈川県厚木市母親による2児車内放置熱中死事件にみられるような、警察が母親の一回目の車内放置を警告、児相に通告するも、警察が通告まで8日もかかった上(しかも書類を持参)、児相の間の連絡不備により2週間放置し、母親に連絡予定としていた日に母親が二度目の車内放置をし(実はその間も何度も交際男と会うため車内放置を繰り返していた)、2児を熱中死させるような事案につき、システムが整備されると2機関の連絡不備による虐待死事件を防止することができるようになります。本事件を機に、神奈川県黒岩知事に要望し、直ちに受け入れていただき、本年中に運用開始。

〇2021年9月の岡山市北区真愛ちゃん虐待死事件では、母親と交際男が真愛ちゃんを真夜中に墓地に連れ出し、裸にして叱責しているところを警察が保護し、児相に「命の危険がある」とまで意見をつけて虐待通告するも、児相は一時保護はしたもののすぐ解除し、虐待リスク評価を変えないまま、ほとんど何も対応せず虐待死させるような事案につき、システムが整備されると、警察が児相の対応状況を確認することができ、児相が何もしていないと確認できたときは、警察が家庭訪問するなどして子どもを救うことが可能になります。

一つの機関だけで対応するより、多くの機関で対応したほうが子どもを守ることができることは自明ですし、一つの機関だけではどうしてもミスは出ます。それをカバーするためには児相だけでなく、警察も同じ情報を共有して対応することができることとしたたほうが、より格段に子どもの命を守ることができるのです。それがこのシステムにより可能になるのです。
 
さらに、このようなシステム化により、これまで電話やファックスで行われていた情報提供や問い合わせが自動で行われることとなり、児童相談所や警察の負担が大幅に軽減されることになり、その分、危険な家庭への家庭訪問など子どもを守る活動に取り組むことができるようになります。

3 今回東京都で整備していただくことにより、ほとんどの大府県で、リアルタイムでの情報共有システムが整備されることになりました。本年中に、兵庫県、神奈川県、横浜市で運用が開始され、先日は愛知県で知事が本年度予算で整備されることを発表され、既に運用されている埼玉県・さいたま市、千葉県、三重県、長野県、静岡県、青森県なども含め多くの自治体で運用され、あるいは導入が決まっています。令和5年度補正予算でこども家庭庁の補助予算もついておりますことから、東京都での整備を機に、いまだ未整備の自治体への導入をより一層働きかけてまいります。