ブログ216 DBS法成立は一歩前進、さらなる改善求め要望書提出

1 このたび、2024年6月19日に、学校設置者等及び民間保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(以下「DBS法」という)が成立いたしました。私どもの3年にわたる要望が実現し、大変評価しております。関係各位のご努力に心から敬意を表するものです。しかしながら、成立したDBS法は一部の事業者についてのみ雇用しようとする者の性犯罪歴を確認するという最低限の対策を講じるもので、私どもが要望している、学習塾、学童保育施設、ベビーシッター業務や全国的なスポーツ団体、芸能事務所は義務化の対象とはされず、かつ、施設におけるセキュリティ対策、講師、指導者への遵守事項の義務付け、被害の訴えがあった場合の適切な対応等の総合的な対策は見送られております。実際に発覚した性犯罪のほとんどは性犯罪歴のない者により行われており、上記の施策を講じることなく、性犯罪歴を確認するだけでは、残念ながらさほどの効果は期待できません。このほか、起訴猶予とされた案件は前歴の確認の対象外とされ、個人としてこれらの業務を行う場合は対象外とされるなど子どもの安全よりも加害者に過剰に配慮したものではないかなど成立したDBS法は多くの問題点を含むものであることも否定できません。

2 特に、学習塾及びスポーツ指導の場におきましては、講師、スポーツ指導者により子どもに対する性加害行為が多発しています。しかし、成立したDBS法では学習塾は性犯罪確認の義務化の対象から外れ、全国的なスポーツ競技団体は規制対象とはされていません。中でも多くの学習塾におきましては、大手事業者でも施設におけるセキュリティ対策は不十分であり、被害児童やその保護者からの訴えに対して事業者が被害者の心情に配慮しない対応も見受けられ、学習塾において子どもを性加害行為から守るための有効な対策を講じることが喫緊の課題です。

性犯罪歴を確認する「日本版DBS」、大手塾32社が参加前向き…50社に読売新聞がアンケート : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

上記読売新聞によると、制度参加が任意とされた民間の事業者で学習塾を経営する大手50社を対象にアンケートを実施。回答した37社のうち、9割弱にあたる32社が参加に前向きで、20社が民間も義務化することを望んだ、とされています。また、「子どもへの性犯罪や虐待の防止に取り組むNPO法人「シンクキッズ」(東京)代表理事の後藤啓二弁護士は「民間事業者がDBS制度への参加を前向きに検討していることは評価したい。『抜け道』のないよう、国は義務化や照会期間の拡充などの検討を続ける必要がある」と話している。」と私のコメントが紹介されていますが、学習塾業界につきましては上記の問題がありますことから、下記の要望書を提出しており、今後働きかけてまいる所存です。また、スポーツ指導の場においても同様の問題があるところ、競技にもよりますが、地域におけるスポーツ指導者は日本スポーツ協会及びその加盟団体である全国的なスポーツの競技団体(以下「中央競技団体」という)の指導者資格を有していることが多いことから、日本スポーツ協会及び中央競技団体についてDBS法に基づく性犯罪歴の確認を義務化し、性犯罪前歴者を指導者から排除するなどスポーツ指導の場において子どもを性犯罪から守る対策を推進することが必要です。

3 そこで、こども家庭庁ほか関係省庁に対して速やかな法改正を要望するとともに、これらの事業者、団体の皆様に対しましては、上記法改正がなされるまでの間、下記の対策を自主的に講じていただきますよう、下記のとおり要望書を提出しました。

https://www.thinkkids.jp/wp/wp-content/uploads/2024/07/DBS0620.pdf

こども家庭庁等に対して引き続き法改正を働きかけるとともに、学習塾業界、スポーツ団体等に対して自主的に対策を講じていただくよう働きかけてまいります。