本メルマガは、これまでの新型コロナウィルス対策は無策の児童虐待防止対策と見事にシンクロしており、このままではとんでもないことになる、瀬戸際の今、せめて、学校の休校措置と満員電車を少なくする取組は直ちに是非安倍総理の責任でやっていただきたいという内容です。
1.2020年2月23日現在、新型コロナウィルスによる日本の感染者は判明しているだけでも、感染者838人(うち国内居住者122人、クルーズ船乗船者691人)、死者3人となり(2/24読売)、感染者の接触歴が負えなくなった状態となり、白鷗大学の岡田教授によれば、既に万単位は感染者がいるとのことであり(2/22テレ朝サタデーステーション)、全国民が感染の危険にさらされ、命の危険もあるという危機的状況に陥っている。子どもにも3人の感染、教師(千葉市)、給食配膳員(北海道江別市)、スクールバス運転手(北海道愛別町)への感染が判明し学校現場への拡大も確実である。イスラエル政府は日本・韓国からの入国拒否などの対策を取るに至り(2/24毎日)、南アフリカは3月の日本でのサッカーの試合に「選手の命を危険にさらすことはできない」とチームを参加させない意向と報じられている(2/23読売)。同様の国は増えていくであろう。このままでは7月の東京オリンピックに選手を出してくれる国がどれだけあるか不安である。中国の習国家主席は「国の危機」であると宣言した(2/24NHK)。このままでは日本も「国の危機」に陥る。いやむしろ、日本は中国よりも人口密度が高く、かつ、中国のような独裁国家でないため国民の活動に強制力を加える感染防止措置はほとんどとられないであろうから、中国よりも感染が拡大し、より悲惨なことになることも予想される。
1/23の「武漢閉鎖」以後、多くの識者が主張していたように早期に中国全土からの入国を禁止していたら、ここまでの蔓延は防げたと考えられる。しかし、政府は湖北省のみからの入国禁止にととどめてしまった(1/31)。武漢市長が「封鎖前に500万人が離れた」との発言(1/26)もあり、湖北省以外からも多数の感染者が訪日するリスクは明らかである。この初動対応の誤りが「国の危機」を招くことになることを強く危惧する。
危機対応の基本は、大きく構えて最悪に備える、結果が小さくおさまればラッキーであったと捉えるべきものである。ぎりぎりで対応すればいいものではない。常に最悪を考えて対策を講じなければならない。特に多くの国民の命を危険にさらすおそれのある事態については鉄則である。結果的に過剰な対策を講じることとなった場合にも、最悪の事態とならずによかったと胸をなでおろして喜ぶべきものであり、大げさな対策だったと否定的に捉えることは、危機対応をとること自体を否定することになる。
ところが、政府は、最初から小さく構えて(湖北省出身者のみ入国禁止)とし、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、ロシア、フィリピン、台湾、ベトナム、シンガポールなど多くの国のように、大きく構える措置(中国全土からの入国禁止)を講じなかった。これが致命的であった。習国家主席の4月訪日が予定されている中国に忖度したとか、インバウンドが少なくなるのを懸念したとか、官僚が反対したなどいろいろ言われており、真の理由は分からないが、いずれにせよ、日本政府がアメリカ等多くの国の政府のように自国民の命を守るために最も必要であった、大きく構える措置、すなわち中国全土からの入国禁止措置を取らなかった。世論調査によればそれを必要と考える国民は67.7%(反対は25.1%)にも上り(2/25産経)、官邸あてに2万数千人の要望が提出され(ツイッター)、国民民主党の玉木代表は14日の記者会見で入国拒否の対象地域を中国全土に広げるべきだと主張しているが(2/25毎日)、政府は受け入れなかった。
この対応は、私にとってはデジャブである。子ども虐待死ゼロを目指し、児相と警察との全件共有と連携しての活動を求め6年にわたり活動し、安倍総理に3万5千人の署名を提出して、安倍総理宛の要望書を6回程提出し記者会見してきたが、無視され続け、東京都目黒区結愛ちゃん事件後も、外傷事案等ごく一部しか情報共有も連携しなくていいとした平成30年7月21日の閣議決定が頭に思いうかぶ(当時も加藤厚労大臣)。顔以外を殴る、冷水シャワーを浴びせる、真冬に水風呂に入れるなど外傷のない事案でも凄惨な虐待が行われているのだから、全件共有にしないと同じ事件が起こると何度も政府・厚労省・警察庁、東京都、千葉県、等に訴えたにもかかわらず、無視され続け、その結果、その後も千葉県野田市心愛さん虐待死事件―まさに冷水シャワーを浴びせられ虐待死させられたー等児相が警察と連携すれば救えたはずの命を救えない事件をその後も多数引き起こしている。また、アメリカやイギリスでは「子どもの命が最優先」という理念のもと児童保護部局と警察とが全件共有し連携しての活動を当然のように行い、子どもを守るためにベストの対応を行っているが、ベストを尽くす諸外国の対応と中途半端な腰の引けた日本の対応と格段に違いがあることも見事にシンクロしている。
児童虐待防止対策につき、長年政府から理解に苦しむ対応を取られ続けてきた私の経験からは、新型コロナウィルスについて政府がかかる対応をとることは「やっぱりな」という感想であるが、政府の子ども、国民の命を守る、危機対応能力には重大な不安を覚える。
その後も同様である。日本と同様初動で中国全土からの入国制限をせず、感染者を激増させた韓国は、2月23日に危機レベルを4段階で最高の「深刻レベル」に引き上げると宣言し、政府は学校の休校や大規模行事の中止を命じることが可能となり、全国の学校の新学期開始を3月2日から1週間延期すると決定したと報じられており(2/24毎日新聞)、日本より厳しい感染拡大防止措置を講ずるに転じている。イタリアでも、コンテ首相は2州の11自治体を封鎖して住民5万人が出入りできないようにする、ロンバルディア州知事はミラノを含む学校や美術館の閉鎖を決定した、と報じられている(2/24産経)。しかし、日本では下記2以降に述べるように、政府が責任を取るー現在又は将来批判を浴びることを承知の上で国民を守るためにリスクを取るーということは現時点ではなされていない。
2月23日の時点で、日本はクルーゼ船乗船者や武漢からの帰国者を除いた国内居住の感染者数122名、死者3名であるが、1ケ月前の2月20日時点では武漢が感染者200名超、死者3名(BBC)、その1ケ月後の2月22日の武漢市の感染者4万5660名、死者1774名であるから(2/23朝日)、日本もこのままでいけば1ケ月後に武漢のようになるかもしれない。医療体制が整備されている日本ではせめて死者の数はそのようなことにならないのではと甘いかもしれないが希望的観測をしているが、感染拡大については、「武漢閉鎖」というような中国のような独裁政権でなければできない強権的措置をもってしてもこのように拡大しているのであるから、日本ではもっと感染拡大している可能性もかなりあるのではあるまいか。
2.政府のプリンセス・ダイヤモンド船(クルーズ船)への対応の結果は次のとおりである。
- 乗員・乗客3700人の中に一人の感染者が出た後、14日間の隔離措置を取ったとしながら、その間に感染者が691人、死者3人と感染を爆発的に拡大させてしまった(2月23日現在)。
- 死亡した女性1名につき、発熱後1週間も下船・入院させなかった。
- 乗客969人を下船させ(濃厚接触者100人のみさらに隔離)、公共交通機関で家に戻し、隔離措置も取らず、外出も自由にさせる措置をとった(その後厚労省はあわてて自宅から出ないように要請したとされているが強制力はなく、果たして何人が守ってくれるか分からない。ちなみに、アメリカやオーストラリア等では下船後14日間隔離される)。さらに23人については2月5日以降に検査していないのに帰してしまった。このような措置には下船者の中からも批判がなされている(2/23午前テレビ朝日の報道番組)。
その後、栃木県の自宅に戻った女性(2月5日に隔離、14日に検査、15日に陰性と判明し19日に下船)が、公共交通機関で自宅に戻ったが、21日に38.7度発熱し、22日に陽性と判明した。政府のかかる対応により感染を拡大させている。アメリカ人もクルーズ船帰国後14人が陽性となっている。 - 船内対策で従事した厚労省・内閣官房の職員、検疫官6人が感染し(2/24時点)、約90人が検査もせず職場に戻していた。その後あわてて検査することにされた。業務に支障が出るから検査しなかったとのこと!!
脱力感を覚えるほどの対応である。船内での隔離措置が不十分で爆発的な感染者を出したとしか考えられない。厚労省の役人、総理、厚労大臣・副大臣ら責任を負うべき政治家・役人・「専門家」と言われる医師らが「2月5日以後の感染拡大はないはずである」という根拠のない楽観論に依拠し、甘い、というよりも政府職員自ら感染しながら、検査しようともしないほどの無謀な対応に終始しており、現場の職員は見殺しである。対応の細部を詰めておらずアバウトすぎる。一体「専門家」はいたのか? 下船した乗客の方からも諸外国からも疑問・批判が出される対応である。
東日本大震災で明らかになった楽観的過ぎる東電・政府の福島原発の地震被害防止対策、戦前の軍部・政府による根拠のない楽観論により無謀な戦争に突き進んだ歴史、さらには、1回の家庭訪問で「子どもに傷は認められず親が否定しているから虐待でなく、警察と連携する必要はない」といつまでも軽信し、救えるはずの子どもの命を救えない虐待死事件等を繰り返す厚労省や東京都、千葉県、福岡県・福岡市などの児童相談所をほうふつとさせる。
3.検査の対象をいつまでも限定しているのも問題である。当初は体制の整備が追い付かずやむを得なかったのかもしれないが、今でも、症状があり病院・保健所に行っても検査してもらえないという。2/21日までの日本の検査数は1522人にすぎない(クルーズ船を除く)。韓国は2207人である(2/25日テレ「スッキリ」)。症状があっても検査を受けさせないこの対応は、感染者に治療を受けさせないばかりか、感染を拡大させており、こんな対応が許されるのであろうか。検査数が少ないことから、日本の判明している感染者数はこの程度でおさまっているだけで、本当はこれより大幅に多いことは確実である(岡田教授によれば万単位)。隠ぺいしていると海外から思われても不思議はないし、国民に大したことはないという誤った印象を与えることとなっている。
4.初期の抑え込みが失敗した以上、できるだけ感染者を増やさない対策が必要である。
(1)まずは、子どもへの感染防止のために取るべき対策として、一定期間学校の休校措置が必要である。低学年ほど濃厚に接触する子どもたちは感染の可能性が大人以上に大きいし、満員電車・バスでの通学を続ければ爆発的に感染者は増えるのであるから、速やかに学校の休校措置が必要である。「8割は軽症である、特に子ども・若者は重症化しないからあまり心配しないでいい」旨の「専門家」の発言がしばしばなされているが、北海道の20代の女性は入院し重篤な状況と報道されている(2/24午前7時NHKニュース)。ウィルスが今後凶暴化することもありえるのであるから、子どもたちへの感染防止措置は最優先で取り組むべき課題であり、文科省は是非とも学校の休校措置をとってほしい。法的根拠がないからできないということではなく、任意でもそういう方針を示せば、現時点ではほとんどの自治体、学校は従う。誰も自分からリスクを取ろうとしないだけで、多くの学校も保護者も休校したほうがいいというのが本心であろう。そのようなことができる法的根拠がないというのは(この問題に限らず)何もしない言い訳にならない。役人は必ずそのように言って何もしないので、文科大臣、知事、市町村長等政治家のリーダーシップでやるしかない。この点、文科省には期待している。心愛さん事件を受けた再発防止策として昨年5月文科省は外傷事案について学校は警察に通報するよう学校向け虐待対応の手引きに義務付けしてくれた。これが浸透すれば、子どもは格段に守ることができるようになる。中国では武漢以外でも学校は休校措置となっている。イタリアでもとっている。感染者が出てからではおそいだろう。役人では無理である。政治家の決断しかない。
(2)次に、子どもたち向けにそのような感染防止措置を講じても、父親・母親が通勤や勤務で感染すれば家庭で子どもたちにも感染させてしまうのであるから、企業活動についても業態の重要度等に応じて業務形態の工夫(テレワーク、時差出勤、多数が出席する会議・研修の中止等)のみならず、感染拡大防止のため一時的な企業活動の縮小等の措置を講じることも真剣に検討すべきである。サンリオピューロランド、ジブリ美術館は一時休館措置をとっている。
(3)次に、各種イベント等の中止・延期・縮小である。必要性の程度に応じてということになるが、必須のイベントというものはさほどないであろう。卒業式、入社式、マラソン大会、街おこし事業など様々なものが行われているが、多くの人に感染させ、そのうちの何人かの命を犠牲にしてまで行わなければならないものは少ないであろう。ただし、入試については、延期は困難な事情が少なからずあると思われ、その場合には厳格な感染防止措置を講じなければならない。
(4)多くの国民が、児童生徒が、満員電車で通勤・通学を続ければ、感染拡大防止など到底不可能である。満員電車での通勤・通学をなくさなければ、感染拡大は防止できない。そのためには一時的な学校の休校、企業活動の一部縮小等(テレワークといつても一部の大企業しかできず、企業の自主的な対策に委ねるということはほとんど効果はない)により、電車に乗る人数を減らすしかない。
学校の一時的な休校措置は直ちに実施できる。春休みを早めるだけである。子どもたちは大喜びする。上記のとおり文科大臣がそうしてほしいと発信すればいいだけである。支障はほとんどない。
一時的な企業活動の一部縮小はそうはいかない。企業には大変なことである。しかし、一時的に事業を縮小・停止する、始業時間を数パターンに分けてずらす、有給取得をこの時点で取得してもらうなど、やり方は色々あるであろう。政府は大規模パンデミックの際に適用する計画を既に作成しているはずである。それに基づき今回は法的な強制力はなくとも企業に強く要請し、企業が実施するよう硬軟とりまぜた実効性を確保する措置を講じていくことが是非とも必要である。企業もこのままでは従業員を感染の危険にさらすことになり無視することはリスクが大きいことから(安全配慮義務違反で訴訟を起こされる危険もある)、それなりの企業は実施することが見込まれる。決してできないことではない。しかし、政府が「テレワークのお願い」とか、ちまちましたことを言うだけでは企業は動かない。役人や厚労大臣ではなく、安倍総理が臨時に記者会見して「今が瀬戸際だ。今やるしかない。是非やってほしい」と企業経営者に必要性を訴え、強く真剣に働きかけるしかない。責任をとらない役人の反対を押し切って、安倍総理の責任で実施するしかない。今が最後のチャンスである。安倍総理には強く期待するものである。
(5)以上について、大げさであるとか、必要性が証明されていないとか、学業に支障が生じる、企業活動が縮小し、社会・経済への打撃が大きい、という指摘はそのとおりで、補償はどうするのかなどの批判はありうるところである。しかし、多数の国民が死亡するリスクが、不確定ではあるが、中国の例を見るとかなりのものであることが合理的に推認される以上、根拠のない楽観論に立って(原発の安全対策を軽視した東電・政府も無謀な戦争に突き進んだ戦前の軍部・政府も、全件共有を拒否する厚労省や東京都・千葉県などの多くの児相もそうである)国民の命の危険を容認することは許されない。
後ほど「大げさだった」と分かったとしても、その時点での判断が合理的である以上、政治家も役人も、責任を追及されるいわれはない(最高裁も認める株式会社の取締役の経営判断の原則のようなものである)。さらに、現時点で上記のような感染拡大措置を講じなければ、1か月後には取り返しのつかないほど被害が拡大し、社会・経済により大きな打撃をこうむる可能性があることも合理的に推測される。
2月20日、 政府は一律のイベントの中止要請はしないと発表した。予想通りである。責任を負いたくない政府にはそんなガイドラインを出すことは期待できない。せめてガイドラインぐらいは示すべきだが、それすらやらない。せめて、都道府県の知事、市町村長に期待したい。児相と警察の全件共有も、厚労省と警察庁が全く応じないので、私は数年にわたり多くの自治体を訪問し、知事や市長さんに直接要望しており、愛知県の大村知事、神奈川県の黒岩知事、神戸市の久元市長等の多くの知事、市長は反対する役人を押し切って実現していただき、今や半数近くの自治体で実施されている。しかし、東京都の小池知事、千葉県の森田知事、福岡県の小川知事、福岡市の高島市長、兵庫県の井戸知事、香川県の濱田知事、札幌市の秋元市長、鹿児島県の三反園知事らには部下の部下の考えを是とするなどとして拒否されたままである。新型コロナウィルス対策でも知事・市長により自治体で格段の対応の違いがでるであろう。知事・市長が役人の言いなりになるか、自分で判断して決定するかという点で、この二つの対策につき各自治体の対策はシンクロするのではないかと予想している。知事、市町村長には政治家に期待される役割であるリスクをとって(保身のためリスクを取らない役人に任せては何ら有効な対策は取られない)、学校は休校、自治体主催のイベントについては中止等の措置を決定し(大阪府の吉村知事にはイベント中止はやっていただいている)、企業活動についても基準・考え方を示して活動の縮小等の措置を要請してほしい。中小企業には補償措置も必要となってくるであろう。
安倍首相は「感染拡大を防止するうえで重要な局面だ」と発言している(2/23朝日)。そうであるならば、具体的な効果的な対策―上記のとおり少なくとも満員電車をなくす対策―を直ちに取っていただくことを強く期待する。
5「専門家」と言われる多くの医師らの対応、姿勢にも首をかしげざるを得ない。当初「過剰に心配する必要はない」、「感染力は高くなくそれほど恐れる必要はない」「子ども・若年者の致死率は低い」などという発言ばかりであった。あとからあとから崩れている。そもそも「未知のウィルスにつき感染が始まり一カ月程度の観察で、しかも、隠ぺいが疑われる中国の報告を基に出された感染力、致死率を信用して「楽観視」していいのだろうか。
クルーズ船から下船させた乗客を他国のように隔離措置をとらず電車で戻してしまっていいのかとの質問に対して「日本は既に感染者がいるので、下船させても大した影響はない。既に汚染されているから」という趣旨の発言をした学者もいた(2/24 テレ朝モーニングショー。感染研の学者だったか。記憶が不確かですが。)。「専門家」がこれでいいのか? この対応でよければ「専門家」の意見をきく必要はないのではないか。
今になって(2/24)、政府専門家会議は「これから1~2週間が急速な拡大に進むか収束できるかの瀬戸際だ」「至近距離ではせきやくしゃみがなくとも感染する可能性は否定できない」「立食パーティや飲み会などでは・・集団感染が起きやすい」などと言いだした(2/24毎日)。当初から楽観的な言動は控えて、このぐらいのことは言うべきであった。ここまで感染が広がってからでは遅すぎるのである。当初から「未知のウィルスで分からないことが多いので、現時点では子どもの致死率が低いとはいえ、ウィルスが凶暴化することもありうるので、十分に警戒すべきだ」「他国と同様に隔離措置を続けた方がいい」等と「専門家」であるならいうべきでなかろうか。結果的に無策の政府の代弁者になってしまっている。この点についても、厚労省の児童虐待関係の審議会や虐待死事件の検証委員会の委員を歴任する「専門家」の医師、学者、弁護士の方々の対応が頭に思いうかぶ。これらの方々は、厚労省や東京都、千葉県等の意向に反する、結愛ちゃん事件や心愛さん事件の再発防止のために政府の意向に反する「全件共有と連携しての活動」など決して提言しない。日本子ども虐待防止学会に至っては反対を表明し、反対活動まで繰り広げている。
また、マスコミには今に至るまで、政府の代弁者のような「専門家」が多く登場している。この点も児童虐待問題でも同様である。マスコミの報道姿勢、「専門家」の人選も検証が必要である。これには昨年2月23日のNHKの児童虐待がテーマの日曜討論がデジャブしてくる。6人の出席者のうち全件共有と連携しての活動を主張するのは私一人で、他の5人の児童虐待の「専門家」(日本子ども虐待防止学会会長の奥山真紀子医師、結愛ちゃん事件の政府の検証委員会委員長の山縣文治関西大学教授、全件共有に反対する東京都の児相所長OB、弁護士ら)の方々は反対を表明した。主要なテーマに賛否1対5という人選であったが、NHKはなぜこんな偏った人選をしたのか、政府の働きかけでもあったのか、それとも政府に忖度したのか、今回もマスコミは同様のことをしているのでは、と疑問を抱いてしまう。
6 以上、私の危惧するような事態にはならず、早々に終息するかもしれない。私はもちろんそれを心から強く願っているが、現時点ではどうなるかは誰にもわからない。しかし、危機対応とは既に述べたように「最悪の事態を想定し対応」すべきものであり、国民の多くの命が危険にさらされる可能性が無視できない以上(これを無視していいとする態度は合理的とは言えないだろう)、他国のように政府が責任を取るー現在又は将来批判を浴びることを承知の上で国民を守るためにリスクを取るーことを強く求めるものである。他国の取組を是非参考にしてほしい。
なお、政府が無策を続けている現状は、本来野党の絶好のチャンスであるが、この点も児童虐待防止対策と見事にシンクロし、主要野党は政府以上に何もしないことを確信している。これまでも主要野党は国会では新型コロナウィルスとは関係のない議題に血道をあげていた。仮に、休校措置、企業活動の一部縮小入国禁止の拡大等の必要な対策につき議員立法や提言でも出していれば国民の支持率も上がったであろう。国民民主党の玉木代表が中国全土からの入国拒否を訴えたのは評価できる。しかし、他の野党はどう主張しているのか。児童虐待についていえば、政府・厚労省・警察庁が拒否する児相と警察との全件共有と連携しての活動を野党が主張すれば、多くの国民が支持し政府も受け入れざるを得ず、野党は国民から見直されたであろう。しかし、そんなことは決してしなかった。、虐待親の「人権」-警察がかかわることを嫌がる虐待親の「人権」を重視する野党の多くは(日本維新の会は別である)、警察と児相の全件共有に賛同しないのである。新型コロナウィルス対策も同様であろう。感染者の「人権」や企業等の関係者の営業・活動の自由などをある程度制約せざるを得ない必要な対策について主要野党は政府以上に及び腰であり、中国の反発を買う入国制限など政府以上に言い出さないであろう。虐待の危険にさらされている多くの子どもたちと同様、新型コロナウィルスの危険にさらされているわれわれ大人の国民もまた頼るところがないのである。それは、子どもたちを救おうとしない無策の政府をとがめるでもなく、強く改善を求めるでもなかった私ども大人には、自業自得、身から出たさびとも思えるのである。