2月24日のNHKの日曜討論に出演しました。見ていただいた方もおられると思いますが、1対5の「完全アウェイ」でした。児童相談所と市町村、警察等との全件共有と連携しての活動を訴える私に対して、残りの方は全員否定。理由は児童相談所と警察は目的が違うとか、親にとってよくないとか、よく分かりませんでしたが、とにかく否定です。千葉県野田市の心愛さん、東京都目黒区の結愛ちゃんなど、児童相談所が案件を抱え込み、警察にも連絡せず放置して、救えるはずの命を救えなかったこと、警察に連絡していれば確実に救えたことをご認識いただいていないのでないかと思ってしまう発言・思考には絶句してしまいました。
昨年まではアウェイが多かったですが、今年は、BS―TBSの報道1930もBSフジのプライムニュースもそんなことはなく、前向きな議論ができたのですが、NHKもなんぼ何でも1対5の「完全アウェイ」にしなくてもいいのでは、せめて2対4とか、1対4、中立1という人選ぐらいになぜしないのか、NHKの放送ガイドラインの中の「放送の基本的な姿勢」として公平・公正が掲げられ「番組ではさまざまな意見や見方を反映するように出演者は幅広く選ぶ」とあるのに、なぜ同じ意見の方を6分の5選出したのかと疑問に思い、終了後司会の太田真嗣解説委員やキャスターの方に「完全アウェイじゃないですか。10年前から警察と全件共有し連携して活動している高知県など連携が進んでいる府県の児童相談所の所長OBを呼べばいいのに、なぜよりによって目黒区結愛ちゃん事件をはじめ10年で26件も児童相談所(区市も含む)が関与しながら虐待死に至らしめた事件を引き起こした東京都なんですか」と、ぐちったり、ぼやいてしまいました。
もしかして、これが他でも問題となったNHKのいわゆる「忖度か」と、厚労省や警察庁が児童相談所と警察との情報共有と連携しての活動に一貫して反対し続けていることに配慮してのことかと、一瞬疑念が頭をかすめましたが、終了直後から友人知人のみならず見知らぬ方からの激励の電話やメールを多数いただき、そうではないと、これはむしろ、NHKさんの深謀遠慮である、すなわち、
〇いかに他の出演した方々の多くが(高島弁護士を除く5人中4人)、児童相談所OBや厚労省の審議会の委員長、委員など児童虐待行政に長くかかわってきた方々であるか、
〇これらの方々がいかに厚労省や東京や千葉、兵庫、福岡などの私どもの要望を拒否している児童相談所(10年前から実施している高知県など警察と全件共有と連携しての活動を既に実施あるいは実施予定のところは20前後の自治体に上り、決して全国の児童相談所が後ろ向きではありません)の意見と同様に、警察との情報共有も十分にせず連携もほぼ現状でいいという意見をお持ちか、
〇そして、警察との連携を進めている児童相談所には否定的で、東京都や千葉県などの児童相談所のようにこれまでどおりの警察と情報共有も十分にせず案件を抱え込んだままの対応でいいと考えているか
〇こういう方々に囲まれているので、政府、国会議員や厚労省、前向きに検討しようとする児童相談所も変えたくともなかなか変えれないのだ
ということを白日の下にさらしてくれたんだとのご指摘をいただき、ああそうだったんだと、NHKさんの深謀遠慮には深く感謝しております。
確かに、厚労省もここまで頑なでありません。全件共有と連携しての活動にもっと理解があり、霞が関の感覚からしても、これは同意しなければならない案件だというのは彼らも分かっているはずで、もうちょっというか、なぜ踏み込まないのかなと常々感じているのですが、こういう方々にこれまでお世話になっているとなかなか変えれないのだなと腑に落ちました。
しかし、それにしても、10年前に自県で児童相談所が関与しながら子どもの命を救えなかった事件を教訓に児童相談所、市町村、教育委員会、学校、警察等と全件共有し連携しての活動を実施している高知県など連携の進んでいる多くの府県ではなく、目黒区結愛ちゃん事件をはじめ10年で26件も児童相談所(区市も含む)が関与しながら虐待死に至らしめた事件を引き起こした東京都の児童相談所の元所長さんを呼び、私どもの求める警察との連携を否定する発言を引き出すとは、NHKも意地が悪いというか、児相が知りながら警察と連携せず多くの子どもたちを虐待死に至らしめている児相というのは、他府県のように貴重な虐待死事件から教訓をくみ取ることもせず、いつまでも自分たちが正しいと思っているんだなと視聴者に分からせていただき、私もこの元所長さんには「東京都は10年で26件も起こしているじゃないですか」とつい指摘してしまいましたが、NHKの深謀遠慮には脱帽です。