結愛ちゃんの死を無にしないためにも、児童相談所と警察の全件情報共有と連携しての活動を求める署名にご賛同お願いします。ネット署名と署名用紙による署名と用意しています。
1 千葉県野田市心愛ちゃん虐待死事件で、学校が心愛さんが父親から暴力を受けており、助けてほしいというアンケート結果を父親に漏らしていたことが分かりました。これにつき、NHKのニュースでの私のコメントが紹介されています(1月31日)。
NHKニュース |
児童虐待の防止に取り組むNPO法人「シンクキッズ」の後藤啓二弁護士は「父親に対してアンケートのコピーを渡せば、虐待がひどくなるおそれもあり、野田市教育委員会の対応は論外だ。父親の怒りを恐れてのことかもしれないが、この問題を市で抱え込まず、警察などと連携して女の子の保護を進めるべきだった」と厳しく批判しています。
もちろん、ありえない対応で虐待リスクを著しく高めたことと思いますが、それでも、千葉県の児童相談所が一時保護解除案件でありながら一度も家庭訪問もせず、警察と十分な情報共有も連携もしないという、とんでもない不作為と案件抱え込みさえしなければ、心愛さんを救うことはできました。千葉県の児童相談所は長期間欠席という危険な情報を学校から遅ればせながら得たにもかかわらず、警察に連絡もしていません。最悪、この時点で、これまでの経緯、一時保護解除案件であり、長期間欠席という極めて危険な兆候を警察等関係機関とすばやく共有し、直ちに動くことができる警察が家庭訪問していれば、心愛さんを救うことは十分可能だったと思います。そういう意味で、最大の責任の所在は、私どもの一昨年9月に強く要望したにもかかわらず警察との情報共有を頑なに拒否し、案件を抱え込み、危険な兆候でも何ら動かなかった千葉県の児童相談所とそれを容認している千葉県知事にあります。心愛さんが学校に助けてほしいというSOSを出したのが、一昨年11月ですので、私どもの要望を千葉県が受け入れ、関係機関の情報共有と連携しての活動に取り組んでいれば、野田市もこんな対応をしなかったでしょうし、児童相談所も一時保護を解除しながら一度も訪問しないなんてとんでもない対応は取らなかったと思います。確実に心愛さんを救うことができたのです。
2 コピーを渡していた野田市の職員は正直に「怖かった」旨証言しており、これは本音です。学校や教育委員会、児童相談所などの職員は警察官と違い普通の公務員です。威嚇的、暴力的な虐待親を怖がることは理解できます。この職員の謝罪会見は結愛ちゃん事件で面会拒否されそのまま放置したことにつき「親との信頼関係を優先した」と見え透いた言い訳をする東京都の児童相談所よりよほど正直だと感じました。
もちろん、だからといって、親に屈して子どもを犠牲にすることなど許されるわけもありません。怖いのであれば、警察に連絡して、警察に対応してもらうべきなのです。それを学校も、児童相談所も「怖いから、子どものリスクに目をつぶり親に従う」という対応をしてしまっているのです。そうではなくて、「怖い、だけど、子どもを守らなければならない、だから、警察に連絡して一緒に対応してもらおう」と考えるのが、子どもを守るために必要なのです。暴力的、威嚇的な虐待親に屈せず毅然と対応することを児童相談所の職員や学校の先生に期待する、そのような制度のままでは、いつまでも子どもを守ることはできません。怖いのはよく分かる、だから、児相や学校に案件を抱え込ませず警察等関係機関と確実に情報共有して連携して子どもを守るという制度にするしかないのです。児相や学校には、案件を抱え込んでは子どもをリスクにさらし続ける、それだけはやめてくれ、親に屈せず毅然として対応することまでは求めない、せめて案件を抱え込まず警察等と情報共有してほしい、そのくらいのことはしてください、ということを私どもは4年以上訴え続けているのです。
ところが、千葉県や東京都など警察との連携を拒み案件抱え込みを改めない都県では、虐待親が「怖い」、という心理に加えて、警察に連絡すると親に怒られるのでないか、という保身が働いて、子どものリスクなんて知らないよ、警察に連絡するとまた親に怒られると、案件を抱え込んでは救えるはずの子どもの命を住まわない対応を続けているのです。
このような対応は、本件のみならず、昨年の東京都目黒区結愛ちゃん事件で、東京都の児童相談所が、母親から面会拒否されたらあっさり引き下がってしまったことと同様です。東京都の児童相談所は「親との信頼関係を優先した」などと言っていますが、言い訳にすぎないことは容易にご理解いただけることと思います。親に逆らうと怒られる、それが怖く、いやで避けたいのです。親の言うがままに従うことが楽なので、子どものリスクなど知らないよ、警察に連絡するとまた親に怒られる、だからやらないよ、「親との信頼関係を優先した」というマスコミも真に受ける言い訳も用意できているし、下手に親には逆らわない、というのが、千葉県や東京都など警察等関係機関と連携しての対応も拒み続ける児童相談所の本音です。そして、それと同じような対応をする学校も残念ながら少なくありません。
児童相談所や学校の「案件抱え込み」は単に縦割りからくるものではなく、親から怒られたくないという情けないほどの保身に真の原因があると考えています。このような保身を変えければ、いつまでたっても同様の事件の再発防止は図れません。そうさせないためには、児童相談所や学校に案件抱え込みをやめさせるしかないのです。ルールとして、警察等関係機関と全件共有して、決して案件抱え込みをさせないようにするしかないのです。
3 1月31日には、私どもの要望に応じ名古屋市に全件共有を受け入れていただきました。これで、大阪、神奈川、愛知、埼玉、広島、名古屋、岐阜、群馬、岩手、高知、大分、明石など多くの自治体で全件共有と連携しての活動が取り組まれることとなり、さらに数自治体で近々に実現する見込みです。これらの自治体の子どもたちは関係機関が連携して守られることとなりました。しかし、千葉県や東京都で虐待を受けている子どもたちは、いつまでも児童相談所や学校が案件を抱え込んだまま、警察や他の機関に知らされることすらなく、連携も図られず放置されたままという危険な状況にあるのです。もちろん、関係機関での情報共有が実施されることだけでこのような事件がゼロになるわけではありません。でも確実に大幅に減ることは確かです。今決定的に問題なのは、連携を嫌う児童相談所等の役人の長年の不作為をそのまま容認し、厚労省も警察庁も知事も市長等の政治家も、ベストを尽くして子どもを守る制度を作ろうという気がないことなのです。
心愛さんの命を無にしないために、今度こそ、千葉県、千葉市に無視されることなく、結愛ちゃん事件を引き起こしながら頑なに拒否している東京都にも、市長・知事に直接お願いしたにも関わらず拒否している神戸市・香川県にも、副知事に直接お願いし県議会で全件共有を何度も求められながら拒否している兵庫県にも、さらに説得を続け、全件共有と連携して子どもを守る活動を実現させるべく取り組んでまいります。