「児童相談所と市町村、警察との全件共有と連携しての活動」を求める要望活動を行っています。
東京都目黒区結愛ちゃん事件、千葉県野田市心愛さん事件、札幌市詩梨ちゃん事件、鹿児島県出水市璃愛来ちゃん事件、福岡県田川市唯雅ちゃんエアガン発射事件等、救えるはずの子どもの命が救えない事件が繰り返されています。児童相談所が案件を抱え込み、警察等他機関と情報共有も連携しての活動もしないという閉鎖的な対応が原因です。
長い間全国の児童相談所では寄せられた虐待案件のごく一部しか警察と共有せず(警察は自らに寄せられたすべての虐待案件を児童相談所に提供しています)、虐待されている子どもがどこにいるかすら警察に知らせないという対応を続け、その結果、上記のような連携すれば救えたはずの子どもの命が救えないという事件を繰り返してきました。
このような中で、2008年に高知県で、2012年に大分県で、県内で発生した虐待死事件の反省・教訓から、児童相談所と市町村、警察がすべての案件を共有し、連携した活動を行う態勢が整備されましたが、この時点では2県のみの取組で、他の自治体では縦割りの対応が続いていました。
私どもは、2014年1月に東京都葛飾区で父親から虐待死させられた愛羅ちゃんが児童相談所と警察が情報を共有し連携して活動していれば確実に救える命であったことから、高知県、大分県の取組を参考として、多くの方のご賛同を得て、「子ども虐待死ゼロを目指す法改正を求める運動」(概要を本HP左側に記載しています)に取り組み、国、自治体に「児童相談所と市町村、警察等との全件共有と連携しての活動」を求める要望活動を行っています。
どちらが子どもを守ることができますか
児童相談所という一つの機関だけで虐待されている子どもを見守るよりも、警察、市町村等多くの機関の多くの目で、子どもたちに虐待を受けている危険な兆候がないか見守る方が、子どもにとり安全なことは確実です。
児童相談所と警察が案件を共有して連携して活動することにより、児童相談所は虐待リ スクのより正確な判断と、より適切な頻度での家庭訪問が可能になります。児童相談所だけ のわずかな情報ではリスク判断は甘くなりがちですが、案件を共有することで当該家庭につき警察が保有する保護者の虐待や DV 歴、子どもの保護歴等の情報や警察がその後の活 動により入手する情報を得ることができ、より多くの情報に基づきリスク判断を行うことが可能になりますし、面会拒否や居留守を使う、あるいは暴力的な保護者等児童相談所だけでは対応困難な家庭の子どもの安否確認や親への指導も警察と連携することで容易に行えることになり、子どもが格段に守ることができます。
2 最近では、このような理解が進み、全国の多くの児童相談所が警察とすべての案件を共有し連携して活動する態勢を整備されるに至っています。上記のとおり、私どもは、2014年から全国の児童相談所に対して、最低限、警察とすべての案件を共有し、連携して活動する態勢の整備を要望しております。これまでにほとんどの都道府県と政令指定都市を訪問し(私どもが要望するまでもなく実施していたただいた自治体を除く)、知事・市長や県担当課長、児童相談所所長らにお願いしてきました。その結果、多くの自治体でご理解いただき、2023年11月現在、50から60程度の自治体で実現しています。いまだ全件共有未実施の自治体はかなり少数になってきました。
東京都、札幌市、奈良県、岡山市、福岡県、福岡市、北九州市、鹿児島県には、それぞれ、警察と案件を共有するなど連携して対応していれば救えたはずの子どもの命が救えなかったという事件を機に、全件共有と連携して活動する態勢を整備していただくよう要望書を提出、知事、市長、担当課長等と面会し、要望しておりますが、いまだ受け入れられておりません(下記ブログご参照。同一自治体に何度も提出していますので一部です)。
ブログ200 岡山市真愛ちゃん虐待死事件を受け岡山市長に要望書提出し記者会見しました
ブログ190 札幌市に「3度目の児童相談所と市町村、警察の情報共有と連携しての活動を求める要望書」を提出
ブログ139 札幌市と道警に要望書提出。沖縄県で全件共有受け入れていただきました
ブログ187 福岡県・福岡市・北九州市に「4度目の児童相談所と市町村、警察の情 報共有と連携しての活動を求める要望書」を提出
ブログ182 東京都大田区・葛飾区ほか23区、東京都、厚労省等あてに要望書提出
ブログ102 東京都目黒区で児童相談所が知りながら虐待死に至った事件を機に再度の要望書提出
ブログ144 鹿児島県に要望書提出し記者会見。関電も児相も毅然と対応しない悪弊は同じ。
ブログ142 全件共有に応じない鹿児島県で4歳女児が母親の同居の男に虐待死させられる事件が発生しまた
奈良県知事には、2023年9月、面談し、本年6月の橿原市星華ちゃん虐待死事件を機に、全件共有と連携しての活動を行う態勢の整備をお願いしました。前向きなご検討をしていただいているものとお聞きしております。
ブログ209 奈良県知事と面談し全件共有を要望し記者会見しました
ブログ208 全件共有を要望中の奈良県で、児童相談所が警察に知らせないまま、交際男の聞き取りもせず虐待死させる事件が発生(1)
これら自治体に対しましては、訪問してお願いしその後適宜検討状況をおうかがいしております。本年に入ってからは、奈良県には5月と9月、山口県には5月(知事に直接要望)、千葉市には6月、富山県、石川県、福井県、金沢市には7月、宮崎県には9月、札幌市には10月(2020年6月に詩梨ちゃん虐待死事件を機に要望書提出)、それぞれ訪問し、要望し、回答待ちの状況です。また、岡山市には昨年(2022年)4月、真愛ちゃん虐待死事件を機に市長に直接要望しております。
中には、県の担当課は前向きであるのに、児童相談所が反対しているというところがあり、こういうところには児童相談所所長さんと面会しご説明する機会を作っていただくようお願いしております。これらの自治体にも粘り強く働きかけを続け、ご理解いただき、できる限り早く全国で、児童相談所と警察との全件共有と連携して活動する態勢の整備を実現させたいと考えております。
3 一方で、現在の全件共有の方法には問題があります。多くの自治体では、全件共有の方法として、1月ごとに児童相談所が把握した虐待案件の概要を書面ないしはUSBで警察に提供するという方法にとどまっているため、その後、それぞれの虐待案件がどうなったのか、虐待はおさまったのか、悪化していないか、同居人の出現など新たなリスク要因が表れていないか、あるいは児童相談所は適切な頻度で家庭訪問しているのかなど最新の状況までは共有されていません。これでは、児童相談所と警察との間で、虐待リスクの認識にギャップがあるままで、連携した活動を行うことが困難です。そうした中、2020年に埼玉県が、児童相談所と警察署の間で LGWAN を利用して情報システムを整備し、児童相談所の把握しているすべての案件の情報をリアルタイムで警察が端末で閲覧でき、リアルタイムで最新の情報を共有できるという大変すばらしいシステムを整備されました。このようなリアルタイムでの情報システムを整備することにより、リスクの悪化を警察も同時に把握でき、危険な状況にある子どもに対して速やかな家庭訪問等必要な連携が可能になりました。また、警察が虐待の 110 番を受けた際には、必ず児童相談所に電話で取り扱い歴を照会していますが、この照会が警察が問い合わせすることなく本システムにより行えることになり、より迅速に対応でき、かつ、大幅な業務負担の軽減も実現しています。
埼玉県のほか、現在では、次のとおり本システムを整備し、整備する自治体が増えています。兵庫県は、2023年8月に、知事さんが同年度補正予算で本システムの整備をする旨発表していただきました。その際の記事、兵庫県が整備する予定のシステムの概要、メリットの説明等は次のとおりです。
児童虐待情報、兵庫県が警察と即時全件共有へ 月1回から強化、24年秋のシステム導入目指す|社会|神戸新聞NEXT (kobe-np.co.jp)
01 警察との全件共有のリアルタイム化 (hyogo.lg.jp)
リアルタイムでの情報共有システムを導入した自治体
埼玉県・さいたま市、岩手県、三重県、青森県、静岡県、長野県
上記システムを2023年度補正予算で整備予定の自治体
神奈川県、横浜市、兵庫県
このリアルタイムで最新の情報を共有するシステムの整備についても、全国の自治体に整備していただくよう働きかけており、多くの自治体からは、大変すばらしいシステムであり、是非整備したいが単独では予算の問題があるので、政府の補助があれば、という強い要望も受けておりますことから、政府に予算の補助措置を要望しておりました。そうすると、こども家庭庁で、令和5年度補正予算で、次のような、自治体への予算をつけていただきました(この資料の10頁)。
令和5年度補正予算案 事業概要(支援局虐待防止対策課)
多くの自治体で、本予算を利用して、リアルタイムで最新の情報を共有するシステムを整備していただくよう期待しておりますし、働きかけてまいります。
4 また、岐阜県では児童相談所、警察、岐阜市・教育委員会の職員が同じ事務所に勤務 し、通報を受ければ直ちに合同で緊急受理会議を開催、合同でリスク評価をし、合同で家庭 訪問するなど、縦割りを排し、極めて緊密な連携を実現しています(資料はコチラ)。
法改正が実現するまでの間、実効的な条例の制定も必要です。
モデル条例案を作成してみました。 詳しくはこちら
各自治体での条例の制定、子ども虐待防止事業の立ち上げのお手伝いさせていただきます!自治体からのご連絡をお待ちしています! 代表理事後藤啓二の略歴・経験についてはコチラ
できるだけ多くの虐待・性犯罪被害を受けた子どもに「心の傷」に対するケアが必要です。シンクキッズでは、これらの子どもたちが、長い人生を前向きに生きていくために専門的な治療・カウンセリングを受けることが必要だと考え、そのための事業を実施します。
この取り組みは、子どもの虐待・性犯罪に専門的に取り組む医師・医療機関や児童相談所、児童養護施設、警察との連携により実施してまいりたいと考えています。
具体的には、虐待を受け治療・精神的ケアが必要と考えられる子どもについてシンクキッズに連絡する。シンクキッズが専門的な知識・経験を有する医師・臨床心理士を紹介し、治療等に関する経費を負担する、 という制度を考えています。現在、複数の都道府県の関係機関と協議中であり、2013年1月現在未実施ですが、協議が整い次第、スタートする予定です。なお、本事業は、当面、法人の事務所がある首都圏・近畿圏で実施してまいりたいと考えています。