1 このたび、新たに次の方々にご賛同者におなりいただきました。
田中俊平さま(弁護士・長島大野常松法律事務所)
森口聡さま(同上)
誠にありがとうございます。心より厚くお礼申し上げます。
また、2014年12月6日(土)の産経新聞に細川珠生さん連載の「解答乱麻」で「縦割りなくし、子供を守る」という見出しで、「・・後藤啓二氏は言う。現在法改正を求める署名活動も行っているが、縦割りの行政では、法律によって組織と役割(権限)を明確化しなければ、いくら連携、連携といっても動かない(動けない) 現場の実情に即した早急な対策が必要」と掲載していただいております。是非ご一読ください。
■産経新聞 細川珠生さん連載の「解答乱麻」 「縦割りなくし、子供を守る」
※上記をクリックすると、掲載記事をご確認いただけます。 |
何度も繰り返して恐縮ですが、「連携」「連携」と掛け声のように「連携」を唱えるのではなく、関係機関の実質的な連携―虐待情報を共有して人員を出し合っての連携―が必要なことはいうまでもなく、縦割りが強く、個人情報保護を不作為の口実とするわが国ではそれを実現させるには法律による制度化が不可欠で、それなくしては虐待死・虐待がいつまでたっても減らない、ということです。このことはここ10年、20年の関係機関の対応と結果から明らかだと思います。
2 さて、本年8月に官邸に設置された「副大臣会議」ですが、厚労省、警察庁、文科省、総務省、法務省のほか、少子化担当の内閣府の副大臣もメンバーとされています。児童虐待問題は、人道的に、人として当然許されないことであるわけですが、国全体にとっては、少子化をさらに進める、労働力の確保が図られず経済成長の発達阻害要因となる、財政支出をさらに進める、という結果をもたらすものです。
すでにご紹介したとおり、和田一郎氏ほかの研究では、児童虐待により毎年1兆6,000億円の支出が余儀なくされているという試算があります。統計上は虐待により殺害される子どもの数は毎年100人程度ですが、虐待死の見逃しが多数あることは確実ですから、殺害されている子どもの数はこれ以上に上りますし、生き延びた中でも少なからぬ数の子どもが重度の障害を負わされています。さらに、ほとんどの子どもが虐待によるトラウマの治療その他のケアをすることなくほうっておかれることにより、思春期以様々な問題が現れ、生きにくい、前向きに生きていくことが困難な子どもたちが多数存在しているのです。このような結果、虐待がなければ、あるいは虐待によるトラウマを治療するなど適切なケアがなされていれば、成人後、虐待を受けていない子ども時代をおくった人と同様の生活をし、就職をし、仕事をし、結婚をし、子どもを設けることができた人たちが、そのようなことができなくなってしまうおそれがあるのてす。もちろん虐待を受けたすべての人がそうなるわけではありませんが、無視できぬ数であることも事実で、総数としてはかなりの数に上ります。これらの人は被害者であり、何の責任もないことはもちろんです。
社会が、国が、児童虐待問題に無関心で、冷淡な態度をとり続ける結果として、このような膨大な社会的損失が生じてしまい、その試算の一つが前述のとおりで、毎年1兆6,000億円に上るということなのです。
そうだとすると、児童虐待問題は、直接の任に当たる厚労省や警察庁などのみの所管とするのでなく、財政を担当する財務省や経済成長を担当する経産省も関心を持ち、これらの官庁も有効な対策を講じるべき立場にあると思います。既に少子化担当の内閣府副大臣は「副大臣会議」のメンバーとされておりますが、財務省、経産省も有効な児童虐待対策について意見を述べ、政府全体として有効な対策を講じる立場にあると思います。また、経済団体や労働団体も同様の立場にあるのではと考えます。
私どもの求める法改正案の柱である、「児相、市町村、警察が虐待情報を共有して人員を出し合ってできるだけ頻繁に家庭訪問する」ことにより、虐待死はもちろんのこと、すべての事案での虐待のエスカレートが防止できるのです。これにより、殺害される子どもの数をゼロに近づけることができるとともに、虐待によるトラウマにより生きづらい、前向きに生きていくことが困難となることを余儀なくされる子どもの数を大きく減少することができるのです。その結果、少子化の防止、労働力の確保(経済成長)、財政支出の軽減、税収の増加がもたらされることになるのです。法改正のもう一つの柱である「虐待を受けた子どもに対する精神的ケアの無償実施」によりさらにこの効果は大きくなります。
子どもの命を守るという当たり前の取組みが、国の成長にも、子どもに無関心な人々も含めたすべての国民にこうしたプラスの結果をもたらすのです。子どもにさほど関心のない方々も、関係ないと思っていた財務省・経産省や経済団体や労働団体の方々にも是非ご関心をお持ちいただき、私どもの署名運動にご理解ご支援賜りますようお願いいたします。