ブログ42 新たなご賛同者の紹介と警察による被害者の安全確認の必要性について

1 いつも署名運動にご協力賜っておりますことに厚くお礼申し上げます。
このたび、次の方々にご賛同者になっていただきました。

清野智さま(東日本旅客鉄道(株)会長)
山下泰裕さま(全日本柔道連盟副会長)
近石康宏さま(全日本柔道連盟専務理事)
四国警備保障(株)さま
第一警備保障(株)さま
(株)ホクタテさま
東洋警備保障(株)さま
全島警備保障(株)さま
日本連合警備(株)さま
(株)山陽セフティさま
(株)トーノーセーフティさま
東亜警備保障(株)さま
ユーアイ警備保障(株)さま
津軽警備保障(株)さま
富士総業(株)さま

 誠にありがとうございます。心より厚くお礼申し上げます。

2 半年以上前の報道ですが、愛媛県四国中央市で、本年(2014年)6月11日、2011年4月13日に知的障害がある長女あゆみさんの首を絞めて殺害したとして父親が逮捕されました。当時県警は家族が自殺したと話したことから自殺と判断していましたが、本年1月自殺でないという情報が寄せられ再捜査していました。あゆみさんは2010年に病院から虐待の疑いがある、2011年には本人から父親に暴力を受けていると県警に通報がありましたが、県警は立件が困難と判断していました。父親は本年2月次女を木刀で殴ったとして傷害容疑で逮捕起訴されていました、と報じられています(2014年6月23日毎日新聞)。

 本事件は、殺人を見逃していた事案であり、検死は十分であったのか、犯罪捜査は十分なされていたのか、特に、病院から虐待の疑いがある、本人からも父親から暴力を受けているという訴えがあったにかかわらず、父親に対する捜査をどの程度していたのか、なぜ、当時立件できなかったのかなど、捜査上の問題点を大いに検証する必要があります。
 さらにより大きな問題として、なぜあゆみさんの命を守ることができなかったという問題があります。あゆみさんは20歳を超えていますが知的障害があったということで、同居している保護者からの虐待が懸念される対象です。しかも、病院、本人から虐待の疑い、暴力を受けているとの通報があったとされています。このような情報を警察が受けていたのであれば、なぜあゆみさんが殺害されることを防ぐことができなかったのかも、大いに検証されなければなりません。
 虐待の疑いの通報、本人からの訴えがあれば、立件することができなくとも、危険が明らかに認められるわけですから、立件を断念した場合でも、警察はあゆみさんの安否確認を定期的に行い、虐待・暴力を振るっていたと疑われる父親に対する監視を行うべきでありました。知的障害がある被害者であったことから、なおさら継続的な安否確認と監視が必要であったと思います。
 署名活動で求めている法改正案のとおり、私どもは、子どもに対する虐待がなされている家庭に対して、警察は児童相談所、市町村と連携して計画的に家庭を訪問し、子どもの安否確認を行うべきと主張していますが、成人であっても知的障害のある人に対する暴力・虐待がある場合には、警察は被害者の命を守るために子どもと同様に安否確認と親への監視・警告を行うべきと考えます。

 警察は犯罪捜査だけをする組織ではありません。そもそも、国民の生命・身体・財産の保護を任務とする組織です(警察法2条)。警察は、「捜査して立件できなかったらそれで終わり」ではなく、被害者の命の危険がある事案については、その後の継続的な安否確認をすることが是非とも必要です(特に本件では容器者と目される父親と同居しているのですから極めて危険であると分かっていたケースです)。
 警察庁は、愛媛県警察だけでなく、全国の都道府県警察に対して、本事件の教訓を踏まえ、刑事事件として立件できない場合でも、被害者の身に危険が生じる恐れがある場合には、継続的な安否確認と暴力を振るう者への監視・警告を頻繁に行うことを組織的に、生活安全部門か刑事部門か対応部門を決めて実施することを求める必要があると考えます。

 警察組織としての、虐待案件の通告後児相に丸投げしているだけで、虐待家庭に在宅で暮らしている子どもの安否確認を継続的に行っていない取組が、このような事案でも被害者の安否を継続的に確認しない対応につながっているのではないかと推測します。警察組織は子ども虐待問題について本格的に取り組むことにより、このようなケースも含めて、危険にさらされている国民の命を守る、真に信頼される組織になっていくのではないでしょうか。