1 本日(2014年7月15日)付けの各紙に、東京都内で居住実態がつかめず所在が分からない18歳未満の子どもが7月8日時点で378人いることが14日、都のまとめで分かったと報じられています。
調査は住民基本台帳に記録がある子どもが対象で、①乳幼児健診や新生児訪問などの保健サービスを受けていない②児童手当など福祉の案内が配達できない、③学齢期を迎えても入学しなかったり通学が途絶えたりした、の三例のうち、家庭訪問や電話連絡で接触できない子どもを集計した、他県では神奈川県が144人(6月下旬時点)、千葉県159人(7月1日時点)、埼玉県71人(7月8日時点)とされています(同日東京新聞)。
目視で安全を確認せずに親の言い分を鵜呑みにして「所在確認」としているものがないのか不安がありますが、少なくともこれだけの数の子どもの所在が不明です。もちろん、外国に出国したケースやDVで避難しているケースもあると思いますが、それでもかなりの子どもの生死が分かりません。
私どもが山田不二子先生とともに、厚労省等に要望書を提出して1年あまりして、ようやく調査だけはされつつありますが、市町村はこのような取組を日常的に行うようしなければなりせん。そのためには、何度も言うように、法律で義務付けることが必要です。こんな大事な、子どもの命にかかわることを国から調査するよう通知を受けなければまじめに調査しない市町村が大部分なのです(国もまた似たようなものですが)。何年かたてば元に戻るおそれもかなり高いでしょう。また、未就学児童・健診未受診の子どもが転居・転入した場合の連絡など他市町村との情報共有、同一市町村内でも他部門との情報共有については、「個人情報保護」を言い訳とする情報の不提供を許さないためにも、法律での整備が不可欠です。
2 次は、これらの子どもたちの捜索と保護の活動です。市町村で捜索できるわけはありませんので、警察で捜索活動をしなければなりません。そのためには、まず、市町村が調査しても所在が判明しない場合には直ちに警察に所在不明届を提出し、警察は直ちに捜索を開始することが必要で、このような取組は子どもの生死にかかわる重要なことがらであり、実効性を確保しなければなりませんので、法律で義務付ける必要があることは何度も述べたとおりです。
そして、警察の捜索活動は、他の犯罪の容疑があれば格別、所在が不明というだけでは捜査ではありませんので、刑事訴訟法で認められている捜査関係事項照会や捜索差押さえといった所在の調査に有効な手法が使えません。郵便局や電話会社は、警察からの任意の要請では、転居先や電話先、携帯電話の位置情報などの提供には「通信の秘密」として応じないのです。子どもの命よりも「通信の秘密」かと驚くばかりですが、この点の問題点はさておき、とにかく、現行のままでは、警察でも捜索にはかなりの制約があるのです。そこで、これも何度も述べていることですが、所在不明の児童の捜索の場合には、警察からの要請があった場合には、関係事業者はこれらの所在調査に資する情報を提供しなければならないこととすることを法律で定める必要があります。
また、警察独自でも所在不明児童の全国データベースを整備する、運転免許試験場や病院、DVセンターなど親子の立ち回りが予想される箇所への手配システムの整備などを進める必要があります(警察庁には既にやっていただいていることを期待しますが)。
3 所在不明児童を発見・保護するためには、このようにするしかありません。調査と並行して、法律の整備に直ちに着手することが国の責務であることは明らかです。再再度、必要な法律案を掲げます。こんな簡単な法律を作るのに何か不都合でもあるのでしょうか。
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