私どもは、3月3日に、「子ども虐待・子どもへの性犯罪ゼロを目指す法制度の整備を求める要望書」を関係省庁、自民・公明両党に提出しましたが、その中で、いわゆるDBS制度、シッター、学童施設児童養護施設等子どもに接する業務から性犯罪前歴者を排除する制度の創設を求めております。3月28日の読売新聞で自民党・公明党がDBS制度創設を検討しているとの記事の中で、私の下記コメントが掲載されました。
「子供への虐待や性犯罪の防止に取り組むNPO法人「シンクキッズ」(東京)の代表理事で弁護士の後藤啓二氏は「犯罪歴を証明する制度は、子供を守るために必要かつ合理的な制度だ。子供と関係ない職業はいくらでもあり、職業選択を不当に制限することにはならない」とした上で、「犯罪の程度によっては生涯にわたっての排除ではなく、10年、20年と年限の差をつけるという考え方もある」と語る。」
[スキャナー]「性犯罪歴なし」証明制度の創設を…わいせつ教員排除へ取り組み : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp) |
自民・公明両党の誠にありがたい取り組みで、是非速やかにできる限り早く、法整備をお願いいたします。
これに対して、性犯罪前歴者の職業選択の自由を阻害するとか、更生意欲を阻害するとか、日弁連などが言いそうなのですが、簡単に言いますと、子どもを性犯罪から守るためにできる限りのことをすることが大人、社会の責務であり、一方、シッターや学童保育施設・児童養護施設など子どもと日常的に接する業務以外の仕事は山ほどあり、わざわざ、よりによってこのような仕事に就かなくてもいいじゃないでしょうか、このような仕事につかなくても更生・社会復帰に努めることは可能じゃないでしょうか、ということです。法律論的に言いますと、子どもを性犯罪から守るという圧倒的に重大な価値からすると、性犯罪前歴者がその後も子どもに接する業務で仕事をすることを制限することは、制限を受ける人にいわれのないことではないことも考慮すると、必要かつ合理的であると判断されるということです。ほとんどの国民はこの考えに首肯していただけると思います。
自民・公明両党は、自信をもって法制度の整備を進めていただきたいと思いますが、さらにいいますと、DBS制度は入り口で性犯罪前歴者を排除する制度であり、これだけでは不十分です。現実には、すでにこのような職場で子どもへの性犯罪が多数行われており、事業者も(学校も)何らの対策も取られていません。今すぐにも、学校を含めこのような職場における性犯罪防止対策を講じることをこれらの事業者(学校を含む)に求めなければなりません。下記、私どもの要望書に記載するところの国が定める「⼦どもを性被害から守るための指針」(指針)に従った対策を講じなければならないとすることも必要です。
② 学校及び⼦どもに接する事業者による性犯罪防⽌対策
学校及び⼦どもに接する業務を営む事業者は、⽂部科学省、警察庁等関係機関が定 める「⼦どもを性被害から守るための指針」(指針)に従った対策を講じなければならな い(指針において、原則として他から⾒えない場所で⼦どもと 1 対 1 にならない、⼦ど もの送迎⾞にはドライブレコーダーを装備、死⾓となりやすい場所には防犯カメラを設 置、⼦どもとのメールのやりとりは原則禁⽌、⼦ども、保護者から性被害の訴えがあっ たときは部内でうやむやにせず警察に連絡、事実解明は警察に委ねる、などを定める)。
https://www.thinkkids.jp/wp/wp-content/uploads/2021/03/20210303_youbousyo.pdf |
自民・公明両党にはこの点も含め、働きかけてまいります。