ブログ180 東京都大田区稀華(のあ)ちゃん8日間放置餓死事件について(2)

東京都大田区で、3歳の稀華(のあ)ちゃんが母親から8日間放置され餓死させられた事件で、稀華(のあ)ちゃんは昨年末に予定されていた3歳児健診未受診で、大田区の担当者が2回母子に接触を試みたが、連絡がつかなかったとされています。

https://digital.asahi.com/articles/ASN7976G0N79UTIL04P.html

 乳幼児健診未受診自体が虐待の危険な兆候ですが、その後「連絡がつかなかった」と言うのであれば、益々危険性は高まっているのです。その後大田区はどう対応したのか、要対協実務者会議の場で、警察、児童相談所、民生委員等と情報共有し、いずれかの機関が母親と会うようトライしたのか、それとも実務者会議の場で報告しなかったのか、報告はしたけれどどの機関も動かなかったのか、検証しなければなりません。

 何度も言っておりますが、このような「危険な兆候」を示している家庭を把握した機関は、市町村にせよ、児童相談所にせよ、警察にせよ、いずれの機関も、案件を抱え込み、ほったらかしにすることが最悪の対応です。前ブログで紹介した2019年7月仙台市青葉区陽璃(ひなた)ちゃんマンション放置低体温症死亡事件では、8~9ケ月健診、1歳半健診、2歳半健診のいずれも受診していませんでしたが、市は受診している医療機関から「虐待の痕跡はない」との報告を受け、そのままほったらかしにし、死亡に至らしめています。
 このような「危険な兆候」を把握した場合には、直ちに要対協実務者会議でーそこには子どもを守ることができる多くの関係機関が入っているのですからー情報を共有し、警察なり児童相談所なり民生委員なりいずれかの機関が家庭訪問し、子どもの安否を確認する、そしてその後継続的に母親への支援と子どもの安否確認をしていれば、稀華(のあ)ちゃんを救うことができました。尾木ママも同様のご指摘をされています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/8d9b7b5ebdf0e501cd9891958c72bfb279a10218

 まかり間違っても上記仙台市の事件のように市区町村なり児童相談所なりが案件を抱え込んではなりません。「会えないけどまあいいか」などと無責任に放置せず、すべての把握した案件につきその後の情報も多くの機関で共有し、危険な兆候が認められる場合には直ちにいずれかの機関が家庭訪問し子どもの安否を確認するとともに親からの相談にのる、昼間は民生委員さんが、夜間は警察官が周辺をパトロールして子どもの泣き声が聞こえないか気を付けるなど市区町村や児童相談所だけで対応するのでなく、多くの関係機関が総力を挙げて、子どもの命を守るため最大限の取組をするしかありません。

 大田区の要対協実務者会議の運用はどうだったのか、どのような機関が参加して、どのような形で情報共有がなされているのか、もし、私どもが長年要望活動を続けている児童相談所、市町村、警察等で全ての案件の共有と連携しての活動が実現していないのであれば、直ちにそのような態勢を整備する必要があります。いまだ実態が不明ですが、確認の上、必要な態勢の整備を大田区や東京等に働きかけていく所存です。