東京都大田区で、24歳の母親が6月5日から8日間、長女の稀華(のあ)ちゃん(3歳)を自宅に放置して知人男性が住む鹿児島県に行き、稀華ちゃんを脱水や飢餓状態に陥らせて死亡させたとして、母親が7月7日に保護責任者遺棄致死罪で逮捕されました。
同様の事件は、①2010年7月大阪市西区桜子ちゃん楓ちゃん姉弟マンション放置餓死事件、②2013年9月さいたま市1歳児放置熱中症死亡事件、③2014年5月神奈川県厚木市理玖ちゃんアパート放置餓死事件、④2019年7月の仙台市青葉区陽璃(ひなた)ちゃんマンション放置低体温症死亡事件などがあり、いつまでも繰り返されています。
一人親が乳幼児を育てている家庭でいかにネグレクトを防ぐか、という問題です。
① 大阪市の事件は、名古屋市で警察が子どもを保護し児童相談所に通告していましたが、大阪市に住民票を移さないまま転居しそのまま分からなくなりました。幼い姉弟が放置されていた間泣き声に気づいたマンションの住民から3回も大阪市の児童相談所に通報がなされながら、児相はマンションを5回訪問しながらどの家庭か分からないまま、警察に連絡もせずほったらかしにし、死亡に至らしめました。
② 厚木市の事件は、警察が早朝に外に出されていた当時3歳の理玖ちゃんを保護し児童相
談所に引き渡し、理玖ちゃんは乳幼児健診未受診でありながら、市も児童相談所も警察も学校もいずれの機関も一度も家庭訪問もせず、理玖ちゃんの姿を確認もしないまま父親の「子どもは生きている」との言葉をうのみにして、10年もほったらかしにし、2014年に白骨となった理玖ちゃんの遺体が発見されました。
③ さいたま市の事件は、ネグレクトが心配されると通報を受け児童相談所が家庭訪問しながら、「問題なし」「ネグレクトの確証なし」と判断し、警察にも連絡せずそのままほったらかし。女児は1か月後に40度の部屋に放置されたまま熱中症で死亡されられてしまいました。
④ 仙台市の事件は、8~9ケ月健診、1歳半健診、2歳半健診のいずれも受診していませんでしたが、市は受診している医療機関から「虐待の痕跡はない」との報告を受け、そのままほったらかしにしていたとされています。
ひとり親家庭で乳幼児がネグレクトにより死亡させられる事件を防ぐための対策が必要です。これまで何度も何度も要望しておりますが、このような家庭を把握した機関は、市町村にせよ、児童相談所にせよ、警察にせよ、誰にせよ、ほったらかしにしないことが最低限必要です。
子どもを守ることができる多くの関係機関がかかわり(まかり間違っても③、④の事件のように児童相談所や市町村が案件を抱え込んではなりません)、楽観論に陥らず、子どもの命を軽視せず、警察を排除せず、親からのSOSがないからしょうがないなどと開き直らず、できる限り多くの目で子どもを見守る、具体的には、「この案件は大丈夫」などと無責任に軽信せず、すべての把握した案件につき多くの機関で共有し、各機関が連携して定期的に家庭訪問し子どもの安否を確認するとともに親からの相談にのる、昼間は民生委員さんが、夜間は警察官が周辺をパトロールして子どもの泣き声が聞こえないか気を付けるなど関係機関が総力を挙げて子どもの命を守るため最大限の取組をするしかありません。
私どもが長年要望活動を続ける児童相談所、市町村、警察での全ての案件の共有と連携しての活動が実現していれば、すべてではありませんが、このような悲惨な虐待死事件をかなり防ぐことができます。上記事件を引き起こした多くの自治体では今や受け入れていただいておりますが、東京都や千葉県などはいつまでも私どもの要望に応じないまま、結愛ちゃん事件、心愛さん事件等を引き起こしています。
本事件については、現時点で大田区などが全く把握していなかったのか、ある程度把握し何らかの対応をしていたのかは不明ですが、このような家庭を把握する手段と把握した場合に関係機関が総力挙げて子どもを守る具体的な取組について直ちに実現しなければなりません。