ブログ171 最初から誤りだった対策と今からなすべき検査増、法改正、虐待防止につい

1 専門家の方々のこれまでのご努力には大変敬意を表しております。特に北海道大学の西浦教授が早くから危機意識を持たれて発信され、政府に緊急事態宣言を出させることとなった80%接触を減少させると感染は収束するとの研究は大変すばらしいもので、その研究成果とそれを政府に受け入れさせるために大変なご苦労をされたこと―政府から「値切り」されたなどのお話しなど(下記インタビュー参照)ーには心から感謝しております。

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2 しかし、一般人である私から見ても、政府や専門家の方々が打ち出された対策は最初から誤りだったのではないかと強く感じます。
 4月11日のNHKスペシャルで、専門家会議の押谷教授は、厚労省から依頼され2月25日の時点では、既にかなりの感染者が出ていたので、シンガポールのようなPCR検査を徹底することはできず、国民全員にPCR検査をすることは無理であるので、クラスター対策をとった、と説明されておられましたが(概要。違いましたらご指摘ください。訂正いたします)、私を含め多くの一般人は違和感を持ったことと思います。
 まず、「国民全員にPCR検査をする」など誰も主張していません。少なくとも症状のある人や感染者の家族などの濃厚接触者に早く広く検査して、陽性と分かれば隔離すればいいのではないか、医療崩壊が起らないよう軽症者は自宅や借り上げた施設に入れるようにすればいいのではないか、と私も含めて多くの方が疑問を持ちそれぞれの立場で主張していました。和歌山県は初期に病院で感染者が多数出たときに大阪府にも協力を求め検査を徹底し早期に拡大を食い止めています。
 東京都は相談者の2%しか検査を受けさせていません(産経4/5)。そのため無症状・軽症の感染者が知らずに感染拡大させており、実際には感染者の数は20、30倍ほどあるのではないか。素人でもこのようなことを心配するのに、なぜ「専門家」はこれを心配しないのかが分かりません。NHKの司会者からのもっとPCR検査を増やすべきだったとの意見もかなりあるがとの質問に対して、押谷教授は「国民全員に検査をするのは無理」と質問に正面から答えず、誰も聞いていない質問への回答をされていました。
 素人ながら、そもそも感染症対策の基本は「検査と隔離」により、感染拡大を防止するのではないでしょうか。他国ではほとんどやっています。イギリスは当初それをやらないという方針でしたが、専門家の意見により直ちに改めました。それを2月25日の時点で諦めれ、クラスターを追いかけることにした、ということでしょうか。しかし、クラスターを追跡するなんて早晩無理になることは分かり切ったことですし、クラスターの追跡と共に、「検査と隔離」の方針をなぜとらなかつたのか。
 PCR検査態勢が貧弱であったことは押谷教授はじめ専門家の方の責任ではなく、政府・自治体の責任です。しかし、「専門家」であれば、早急に検査態勢を拡大し、保健所がボトルネックになっているのなら、保健所を通さない検査態勢を拡充するー諸外国のようにーということを提言されるべきではなかったのでしょうか(もし、提言していたのに政府・厚労省・東京都等に無視されたということであれば是非お教えください。尾身先生は3月3日の参議院の公聴会で「もう少し早く検査してもいいのではないか」とおっしゃっておられましたが、誰が「症状が出てから4日間経ってから」などとの案を作り(「厚労省医系技官」が作成と4/13テレ朝モーニングショーで説明あり)、それを長い間変えないままにさせているのか、責任者は誰なのでしょうか。)。押谷教授は、今になって、PCR検査は拡大するべきとおっしゃっていました。そんなことは2月25日の時点で言っていただきたかったですし、厚労省・東京都などの自治体はなぜ今になっても、こんなに検査が少ないままで放置しているのか。韓国やドイツなど多くの国でできることがなぜできないのか。政府・自治体とも直ちに実行していただきたい。そもそも、検査を拡大して感染の全体像を把握しなくてもいいとと考えること自体理解できない。全体像を把握しないから危機感を持てず、楽観的になってしまい、緊急事態宣言など必要な対策がことこどく遅れてしまったのです。

3 政府・厚労省―東京都等―専門家のラインには、児童虐待対策にせよ、新型コロナウィルス対策にせよ、共通するのは次の事項です
〇甘いリスク判断、危機意識の欠如、最悪に備えるという意識の欠如
―すべてにつき遅すぎ、ずさんすぎる対応。検査を長期間狭く限定。軽症者を病院以外に収容させることがようやく4月から。海外から帰国の感染者多数を空港ですり抜けさせる。遅きに失っした緊急事態宣言後でさえ政府は東京都の取組の足を引っ張る、休業要請は2週間様子を見てからなど
―東京都、千葉県等の児童相談所が1回の家庭訪問で「虐待でない、緊急性が低いと判断した案件は警察と情報共有も連携する必要はない」とリスクを軽信してほとんどの案件で連携せず虐待死に至らしめる
〇自分の狭い分野から判断し他分野の専門家、一般人の意見を聞かない
―検査を拡大しても軽症者を自宅・ホテル等に収容することとすれば医療崩壊を回避できるのに長期間その仕組みをとらず、しかもクラスターの追跡には限界があり早々に不可能となるものであるから、基本である「検査と隔離」を拡大すべきとの他分野、一般人の主張を聞かない
―児童相談所の他機関と連携しない案件抱え込みとそれを正当化する「専門家」の医師
〇(特に役人)面子、おかしすぎるこれまでの対応を正当化
―検査を狭く限定する取組を長期間変えない
―児童相談所が警察と情報共有も連携もしない対応をいつまでも正当化
〇他国の取組を軽視し、日本のガラパゴス的対応を正当化する
―ほぼ全ての国で力を入れる「検査と隔離」をほとんどしない
―イギリス、アメリカでは当然の児童相談所・警察との全件共有と連携しての対応を拒否
〇考慮すべきでない、重要視すべきでないことを重要視し、子ども、国民の命を救えない事態を招く
―経済的・社会的損害が大きいので厳しい対策をとらないことを正当化(当初はともかく、ある時点からは「命」優先に切り替えるべきだし、厳しい対策を取れる法律を整備すべき)
―警察と連携すると虐待親が嫌がる。「親との信頼関係」が大事なので児童相談所は警察と連携してはいけないとして子どもを守るための有効な対策を取らないことを正当化
〇批判・抗議を恐れる体質
―「対策が不十分で死者が増えるより、過剰な対応だったと後から批判される方がいい」
―「児童相談所だけで虐待を見逃して子どもが殺されるより、虐待親からたとえ抗議が来ても多くの機関が連携して取り組んで子どもを守る方がいい」
となぜ考えられないのか。

4 これまで散々述べておられますが、せめてこれからは次の対策が必要です。
〇PCR検査を保健所を通さないルートで大量に実施する
〇緊急事態宣言によっても収束しないことに備えて、特措法を以下のように改正する
・業種に応じて企業に対して出社抑制の取組を命じることができる
・営業停止等を命じることのできる対象を拡大する
・外出自粛、施設の利用制限など現行法で「要請」との対象とされていることの違反には罰則で担保する
〇外出自粛、休校措置が続く中で、虐待増が懸念されることから、東京都や千葉県・千葉市、福岡県・福岡市、横浜市など児童相談所が案件を抱え込み、警察とほとんど連携しない自治体について、警察等多くの機関と全件共有し連携して虐待家庭を今までより多く家庭訪問するなどして子どもの安全を確保する取り組みを行う

 専門家のみならず広い知見の下、政府は厳しくとも有効な対策を講じなければなりません。国民は政府に協力するとともに、政府・専門家も反省すべきところは反省し、面子やこれまでの方針にこだわることなく有効な対策を取っていただくことを強く望みます。
 医療現場で感染リスクを負いながら治療に従事しておられる医師、看護師等の皆様には心から感謝申し上げます