ブログ163 現時点で対策を「緩和」していのか? こんな腰を引いた「専門家」「政府」では感染爆発は防げないのでないか。

1 3/19の専門家会議、3/20のそれを受けた政府の方針は、2月27日に全校休校措置要請を取って以降安倍総理のリスクを取った対応が、再び「丸投げ」に戻ってしまった。イベントは中止が必要と断言せずうやむやなままで、要するに主催者に判断丸投げで、文科大臣は学校の全校休校要請をしないと明言してしまうなど、まるで収束したかと思ってしまうような、これまでより後退した、大幅な緩和であった。これを受け、全国で下記のような驚くべき光景が全国でみられた。
 しかし、現時点でこんな「緩和」をしていいのか。感染者、しかも、感染ルートが分からない感染者が増え続けているのであるから、むしろ対策を強化すべきでないのか。ヨーロッパ、アメリカでは、極めて厳しい隔離措置をとっているなかで、なぜ「専門家」も政府・自治体も、国民も、このような対応をするのであろうか。海外からは余りに楽観的と驚かれ、日本をますます危険な国とみられることになるであろう。
 「我々はできる最大のことをしたい。我々は大いにやりすぎになるべきだと思う。やり過ぎて批判される方がいい」というアメリカの国立アレルギー感染症研究所所長アンソニー・ファウチ氏の見解(3/16ヤフーニュース飯塚真紀子)のとおり、アメリカはじめ多くの国では学校の休校、イベントの中止などはもちろんのこと、外出禁止、出社禁止、店舗の営業禁止などのすさまじい隔離措置がとられている。
 日本では、こんなことを言ってくれる「専門家」はいない。逆である。「コロナ、そこまでのものか」との専門家のインタビューを朝日新聞が掲載しているし、朝日新聞の政治部長は(特措法の緊急事態の)「宣言の発動には極めて抑制的な姿勢を基本にすべきではないか」と述べている(3/14)。

https://digital.asahi.com/articles/ASN3L3D4DN3GUPQJ001.html#continuehere

 日本では一部のマスコミや学者、一部の「専門家」までも本事案でも「私権の制限はエビデンスに基づき必要最小限でなければならない」などと主張している。未知のウィルスによりこれだけ全世界で死者が生じ、諸外国では厳しい対策が講じられているのに、日本でだけ「エビデンスに基づく必要最小限」の規制で国民の命は守れるのであろうか。そんなこと神様でない限りできるはずがない。これらの人たちの言を真に受けると、爆発的な感染拡大により、死者が何千人と積みあがった時点で、ようやく「エビデンスあり、やっていいよ」となってしまう。こんな結果でいのか、それともアメリカの専門家のように「我々は大いにやりすぎになるべき」なのか、国民の命を優先するという立場に立つ限り明らかであろう。
 政府が前者のような対応をとってはならないことは明らかであり、「専門家」も本来そうあるべきであると思うのであるが、しかし今は多くの「専門家」が大したことない、「エビデンスがないから休校は反対」「経済的損害があるから中国からの入国制限反対」「検査数を増やすのは反対」などと主張しては、政府の足を引っ張っていると感じる。「やりすぎとの批判」を恐れていると思われ、アメリカの専門家の覚悟とは大きな違いがある。
 「専門家」については児童虐待対策にも同じような問題を感じる。千葉県や東京都、福岡県などの児童相談所が警察との全件共有を拒否し、今でも一回の家庭訪問で「これは虐待でない、緊急性が低く警察と連携しなくていい」として案件を抱え込んでは救えるはずの子どもの命を救えない事件を繰り返している。このような対応は、児相の縦割りで他機関との連携を嫌う閉鎖的体質が基本的な原因であるが、虐待親からなぜ警察と連携するのかとクレーム・批判を恐れることも理由の一つである。日本子ども虐待防止学会(会長奥山真紀子医師、事務局長山田不二子医師)という医師が中心の「専門家」は、警察と全件共有を拒否する児相の対応を是とし、児相から警察への案件の提供は「(児相が)必要と判断した場合に限り」行われるべきだとし、私どもの進めている「児相、市町村、警察との全件共有と連携しての活動」に反対活動を繰り広げている。「専門家」は、いろんな事情で必要な対策を躊躇する行政の後押しをする立場でないのか、「1回の家庭訪問で虐待リスクは正確に判断できず、警察と連携しなくていいとの判断は危険である」と言うべきでないのか、「専門家」はリスク判断は厳しめに判断すべきでないでしょうか。「専門家」が甘く判断すれば、行政はそれを錦の御旗として、甘いままの対応となってしまいます。

 報道によると、「3連休自粛疲れで大行列」(3/23テレ朝モーニングショー)として、
・目黒川の花見―屋台も出、人で通りを埋め尽くす
・新宿御苑にも大量の花見の人
・仙台の聖火に5万人集まり、密集
・埼玉のK1 に6500人―国、埼玉県の自粛要請も無視
・大阪のライブハウスファン殺到、100人がすし詰め、全国からのファン、密集し大声でシャウト
・深夜まで高田馬場など繁華街で大量の人出、泥酔者多数。卒業式シーズンの学生か
・京都にも多くの観光客来訪

 この三連休で大きく感染拡大したのでないか。これでは二次感染を追えるはずもない。
 3/19の専門家会議がこんな甘い見解を出さず、3/20政府もそれをうのみにせず、楽観論を打ち消して、せめてこれまでどおり、できればより強い対策―接触を避けるための対策―を打ち出していれば、三連休の感染拡大はなかったのではないか。20日の安倍総理がイベントについて「専門家会議の見解を受け主催者が判断してほしい」と述べておられるが、より強く「中止してほしい」と国民に強く働きかけるべきであった。K1運営者も「政府から中止の要請があれば中止していたかもしれない」と述べている。そもそも自粛要請しかできないことが根本的問題であり、一概に主催者を責められないし、このままイベントが開催され続けると感染が爆発的に拡大するおそれがある。中止を命じ、必要な補償を講じるという対策―法律がなくとも緊急的にできないことはないが、筋からいえば法律の整備(しかし時間がかかる)―が必要であり、他の対策も含め新型コロナウィルス特別措置法の改正が早急に必要である。

2 何度も言っているのですが検査数が少ないことからくる感染確認者が少ないということが大きな問題でないのでしょうか。私がこういうとすぐ多くの医師の方から「素人はこれだから困る」みたいなご指摘が来るのですが、尾身副座長も3/10の公聴会でもっと早期にPCR検査する必要を感じていると述べておられることを指摘しておきますし、アメリカの研究者は「日本の検査数は少ないとして、検査拡大に努めるべき、・・渡航制限や休校といった対策をどの程度実施するかはウィルスがどの程度どこにあるかがわかるかどうかによる」とし、検査の重要性を指摘、と報じられています。(朝日デジタル3/14)

https://digital.asahi.com/articles/ASN3G6JR3N3GUHBI01R.html

 こんな少ない数だから国民も首相も知事も危機感を持てないのでないか。検査数をこんなに少なく抑えてるから、感染者が少ないとされているだけで、自分では分からない感染者は明らかに大幅に増えており、彼らが普通の生活をして感染を拡大しているわけです。
 なぜこれを放置していいのかが分からない。これではいつまでも感染が収束しない。日本以外の国では、大幅に検査数を増やして、医療崩壊を防ぎつつ無症状者、軽症感染者も含めて隔離措置を講じており、厳しい措置であるがこのような対策をとると、中国のようにいずれ収束する。しかし、日本のこのような対応―検査もしないし、自ら感染してると分からない無症状感染者を放置―ではいつまでも感染は収束しない。すると、収束した他国から、日本人はいつまでも入国禁止措置をとられ続けられるし、外国から誰も日本に来ない、ということとなり、日本は鎖国状態を迫られる、いつまでもオリンピックも開かれない・・・・。

 このままでは以上のようになってしまうのではと思うのですが、これが素人のたわごとで終わればいいと心から思うのですが、「専門家」の方には、ほんとうにこれまでどおり検査数が少なくていいのか、検討していただきたいと思いますし、他方、国民に責任を持つ首相、知事には、是非他国の対策―医療崩壊を防ぎつつ検査数を増やして厳格な隔離措置を取っている他国―を参考として、「専門家」がやりすぎとの批判を恐れて楽観的なことを言っているのではないかと思われる場合には、毅然として検査数の拡大、必要となる厳格な対応―特措法の改正が必要になると思いますーによる収束を目指していただくことを強く望むものです。