1. 3月4日、安倍総理が新型インフルエンザ特別措置法を改正して、新型コロナウィルスにも対応できるようにする意向で、野党党首と協議されました。一か月前には議論して2週間ほど前に成立させておくべきだったと思います。法改正しなくとも適用できるのではという国民民主党の玉木代表の意見ももっともだと思いますが。とにかく、効果的な対策が取れる準備をしておくことにこしたことはありません。
なぜここまで何から何までおそいのか。中国全土からの入国禁止はいまだ実施していません。それで感染がここまで拡大してしまい、今になって中国の北京市、上海市から日本人が入国するには14日間の隔離措置までされる始末です。アメリカからも入国制限されそうです。
3月3日の参議院予算委員会で自民党の山田宏議員が「中国全土を入国制限すべき」、総理「必要であれば躊躇なく決断する」、山田「日韓だけ入国制限していない。日本が入国規制される原因になる。早急に」との質疑を行っていただきました。遅すぎますがやらないよりましです。このままでは感染拡大防止措置に大きな穴が開き続けるばかりでなく、アメリカほか多くの国から日本人が入国禁止とされてしまいます。
これほど間の抜けたことはないでしょう。日本国民が感染被害の拡大を受け、日本が世界からバカにされても仕方がない対応です。
2. 最終的に全ての責任は最高責任者である総理が負うわけですが、総理が責任を全うするには官僚機構の適切な補佐が不可欠です。官僚が総理が選択すべき施策の案ー今回で言えば、感染拡大防止のための、中国からの入国禁止措置、イベントの中止、休校措置、満員電車の緩和、出社抑制、在宅勤務などの施策の案―をメリット・デメリット、必要性、起こりうる弊害とその緩和策、他国の実施状況、事態の深刻度に応じての実施予定時期等を事前に説明しておき、事態の深刻さに応じて安倍総理の決断を受け決定し、事前に公表、準備期間を経て実行する、という準備が必要です。
何から何まで遅れていることから、官僚が適切に上記の総理が選択すべき施策の案を提示していたとは考えにくく、特にイベントの自粛要請、休校措置要請の当初の加藤厚労大臣、荻生田文科大臣のいかにも中途半端な、腰を引いた対応を見る限り、到底そうとは思われません(ただし中国全土からの入国禁止をしないのは習主席の来日を実現したい安倍総理の意向だと感じますが)。官僚が厚労大臣・文科大臣にあげた案は政府が責任を負わない、イベント主催者や自治体・学校にへの「丸投げ」の案であったと推測されます。児童虐待防止対策もそうなのですが、役人はめんどくさいことはやりません。どれほど虐待死事件が起こっても、児童相談所の役人は「親が嫌がるから警察と連携してはいけないんです」などと平気で言い、それを知事・市長が部下の言うがまま受け入れてしまいます。今でも東京都や千葉県、福岡県・福岡市などの知事・市長は部下の言うがまま、いつまでも警察と連携しようとしません。
イベントの中止も休校措置も、リスクのある施策で、責任を追及されるおそれのあるものですから役人は嫌います。ですから、当初はすべて主催者や自治体に「丸投げ」でした。政府が責任を取ることから逃げたのです。
役人のそのような「丸投げ」の案を提言しても、加藤厚労大臣や荻生田文科大臣がそれを受け入れてしまっても、安倍総理にはそれを退けて、政府が責任をもって対応すると打ち出していただきたかったです。今回の安倍総理の対応は、児相と警察の全件共有につき、部下の考えを是とするとして拒否した東京都、千葉県、福岡県、香川県の知事、福岡市長などと同様であったと思います。そうではなく、それはおかしいでしょうと、役人の案を退けて全件共有に踏み切った愛知県大村知事、神奈川県黒岩知事、神戸市久元市長らのような対応を安倍総理には取っていただきたかったです。思い出しますと、東京都目黒区結愛ちゃん虐待死事件の後に、私どもから数度目の全件共有を求める要請を安倍総理宛にしても、当時の加藤厚労大臣にも安倍総理にも受け入れていただけませんでした。役人の言うがままの対応は今回に限りません。
今回は、イベントの自粛要請、全校休校措置要請は、その後安倍総理がリスクを取って政府が責任を取る決断していただきました。政治家らしい素晴らしい対応です。そのおかげでこれらの対策は相当進みました。安倍総理の功績であることは間違いありません(遅すぎましたが)。中国全土からの入国禁止措置、出社抑制、在宅勤務、満員電車の混雑率の緩和の推進等まだまだ取らねばならない対策が山積みです。安倍総理は、全校休校措置に続き、これらの取組につきリスクを取って、官僚の腰を引いた案を退けて、実効ある対策を講じていただくようお願いする次第です。