1 8月2日、全件共有を受け入れていただいた沖縄県と県警にお礼にうかがいました。
1月の千葉県野田市の心愛さん事件直後に、沖縄県の若手企業経営者の方が、沖縄県でも全件共有と連携しての活動を実現して子どもを救いたいとわざわざ東京の私の所までお見えになり、その後一緒に県と県警に要望をしておりました。県も当初から前向きにご検討いただき、早くも6月に県と県警で細部まで協議がまとまり、この度実現していただいた次第です。これで22道府県・政令市で全件共有と連携した取組が実現しました。
本当にありがとうございました。沖縄県の地元の方が、立ち上がり、声を上げていただいたおかげです。命の危険のある子どもたちを虐待から救うのは官の仕事ですが、児童養護施設で暮らす子どもたちやネグレクト状態にある子どもたちを支援することは、民間でも大いにできることです。沖縄県では、私にお声をかけていただいた方々を中心に、多くの若手経営者の方々が、このような子どもたちに対して就労の場を提供することを含め様々な支援をしようと動いておられます。沖縄県では、実に理想的な、児童相談所、市町村、警察そして民間の方々が連携し、子どもたちを虐待から救い、その後前向きに生きていくことができるような支援の枠組みが実現することが多いに期待できます。私どもも、少しでもお役に立てるよう、お手伝いさせていただく所存です。
2 8月1日厚労省から発表があり、平成30年度に全国の児童相談所(児相)が対応した児童虐待の相談件数(速報値)が前年度比19.5%増の15万9850件で過去最多を更新。29年度に虐待死が判明した子どもの数は、前年度比12人減の65人(無理心中の13人含む)。虐待の内容別では、子どもの前で配偶者に暴力を振るう「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」を含む心理的虐待が8万8389件(55.3%)と最も多く、17年度より1万6192件増。身体的虐待は4万256件(25.2%)、ネグレクト(育児放棄)は2万9474件(18.4%)、性的虐待は1731件(1.1%)とされています。
児相への通告元は警察などが7万9150件(前年度比19.8%増)で半数を占めています(大都市圏では7割前後に上ります)。住民からの通報は児相よりも警察に対して圧倒的多数寄せられています。警察に寄せられた通報は幅広く関係機関で共有され連携して対応されているのですが、全件共有を実施している22府県・政令市を除く自治体では、児童相談所に通報された案件は一部を除き共有されず、子どもたちは児童相談所に案件を抱え込まれ、警察はどこに虐待されている子どもがいるかさえ知らされず、連携して守ることができないままです。このままでは、ますます心ある国民は、児相ではなく警察に通報するようになるでしょう。そうすると、児相の存在意義は何なのかという議論がますます大きくなります。
そもそも市町村は虐待対応部局のほか、母子保健部局やDV担当部局、住民票担当部局、生活保護部局等を有しており、児相の有する一時保護等の権限も市町村の虐待対応部局に移管したほうが、よほど合理的、効率的に各部局が連携して対応することができます。警察との連携も市町村はよほど前向きです。上記22道府県・政令市を除く児童相談所だけが関係機関が連携して子どもを守る活動を阻害しているのです。
3 私が虐待再発防止委員会委員を務める野田市では、心愛さん虐待死事件を真摯に反省し、二度と同様の事件を起こさないため、いま全力で、関係機関がより一層連携して、総力を挙げてベストの取組で子どもを守ろうと取り組んでいます。要対協実務者会議は朝の10時から夜の7時まで、副市長さんの総括のもと、精力的に取り組まれています。その野田市で、本年6月27日、市に一時保護の権限を行使できるよう法改正を求める要望書を国あてに提出しています(添付参照)。児童相談所が案件抱え込みの姿勢を改めず、市町村とも警察とも有効な連携した取組をしない以上、市町村に児相の一時保護等の権限を移管ないし市でも行使できるようにしたほうが、子どもを守ることができることは確実です。多くの市町村でも痛感されていることで、国は早急にこの法改正の要望に応えなければなりません。