1 先週から今週にかけて、三重県、静岡県・静岡市・浜松市、神戸市で全件共有が実施されることとなりました。ありがたい限りです。
https://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/tokai-news/CK2019031302000094.html |
千葉県野田市心愛さん虐待死事件、東京都目黒区結愛ちゃん事件等児童相談所が案件を抱え込んだまま救えるはずの命が救えなかった事件が立て続けに起こり、再発防止のためには、児童相談所、市町村、警察等が全件共有し連携することが必要ということにご理解いただける自治体が増えてきたのだと思います。私どもの要望にいつまでもかたくなに応じていただけないのは、東京都、千葉県、兵庫県、福岡県・福岡市・北九州市のみになりました。これらの自治体に対しては引き続き働きかけてまいる所存ですが、速やかに受け入れていただいた多くの自治体にならっていただきたいと思います。
国についてですが、私どもは必死に働きかけをしておりますが、政府の児童福祉法改正案や政府の緊急対策にはこのままでは「全件共有と連携しての取組」が採用される見込みはありません。下記報道によりますと盛り込まれるとされている警察官やOBの児童相談所への派遣・配置というのは筋が違うと思います。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190312-00000607-san-pol |
児童相談所の職務が警察官が派遣されなければ対応できないということであれば、法律で警察の職務として位置付けなければなりません。この案では、対応困難な親への対応は派遣された警察官に押し付けるなど便利使いされるだけです。組織として連携の仕組みを構築しなければ機能しません。この案では、全件共有も連携しての対応も十分にしないまま、警察官を便利使いして、さも連携したかのようにみせかけるだけになってしまうのではないでしょうか。警察庁は警察官が便利使いされ、責任を押し付けられるような仕組みを受け入れるのではなく、組織と組織の連携の仕組みー全件情報共有の上、それぞれの組織の能力・特性に応じた連携態勢ーを構築するよう筋を通してほしいと思います。
2 現時点で20近くの自治体で全件共有と連携しての対応がとられることとなり、近々に実現する見込みの自治体も数自治体ありますので、近々に20数自治体から30近くに上る見込みです。このような自治体がここまで増えながら、改革しようとする児童相談所の取り組みを政府が全く取り入れようとしないことは極めて異常なことです。どういう力学が働いて、政府、あるいは自民党の政策に反映されないのか。
2月24日の私が「完全アウェイ」にされたNHK日曜討論に出られた他の方々にみられるように、厚労省の審議会や虐待死検証委員会を歴任する「専門家」の学者や医師の方々は、ほとんど全件共有と連携しての対応に反対です。そうした方々の意向が、厚労省や結愛ちゃん事件、心愛さん事件後のいずれにも提言や決議を出された自民党の「児童の養護と未来を考える議員連盟」(会長塩崎元厚労大臣)などに反映されているように思います。私は、厚労省の審議会の委員に委嘱されたことはもちろん、自民党の本議員連盟の会合に呼ばれたこともありません。是非呼んでいただきたいと思っております。結愛ちゃん事件、心愛さん事件の直後に出された本議員連盟の3度にわたる提言や決議には児童相談所と警察の情報共有も連携も一切盛り込まれていません。警察は児童虐待防止に必要のない機関だということなのでしょうか。私はNHK「日曜討論」の人選の通り、国の施策を反映する場からは「完全アウェイ」なのです。
3 何とかこういうところに私どもの意見を反映させなければ、いつまでも、結愛ちゃん事件、心愛さん事件と相次いで起こった事件の原因を踏まえた再発防止策とはピントのずれた対策のみが羅列されることになり、いつまでも子どもたちは児童相談所が案件を抱え込んではずさんな対応で救われないという事件が続くだけです。
官邸にこのような事実を知っていただければと思うのですが、なかなかその機会も与えられません。このままでは、昨年7月20日の政府の「緊急対策」に続いてまたもや、相次ぐ事件の再発防止に緊急に必要な対策が抜け落ちた対策が政府の緊急対策として打ち出されるのではないでしょうか。
私どもは、今後も地道に全国の自治体を回って全件共有と連携しての対応を要望し、それに応じてくれる児童相談所を増やしていくつもりですが、やはり時間がかかります。本来は、厚労省と警察庁が、改革に反対する「専門家」等の動きにとらわれることなく、改革しようとしている自治体の取組を受け入れればいいだけの話です。「専門家」の方々は子どもの命に責任を持っていません。責任を有しているのは厚労省、警察庁なのです。責任を有するはずの役所が、「専門家」に遠慮してのことかどうか分かりませんが、子どもたちの命を守る有効な対策をいつまでも講じようとしない、政治も「専門家」に同調する動きが強く、私どもの要望や改革しようとする児童相談所の動きをほとんど無視される、という事態を何としても変えたいと思っております。