1 結愛ちゃんの死を無駄にしないためにも、児童相談所と警察との全件情報共有と連携しての活動を求める署名運動にご協力をお願いします。
2 9月4日の神奈川県知事の定例記者会見で、黒岩知事が、児童相談所と警察との全県共有を実施すると発表されました。(下記you tubeの14分30分ごろに言及されておられます。)
ありがたい限りです。これで全件共有を実施する自治体は全国で9府県に上り、関東では茨城県、埼玉県、群馬県、神奈川県の4県になりました。これまで私どもは関東各都県(栃木県を除く)に要望してまいりましたが、これで、私どもが要望しながらいまだご理解いただけない都県は東京都と千葉県のみとなりました。東京都と千葉県には、是非ともご理解いただけるよう引き続きお願いしてまいる所存です。(もちろん栃木県にもお願いする所存です)
3 日本新聞協会発行の「新聞研究」の今月号(本年9月号)に「関係機関の連携で事件を防げー報道は原因を分析し再発防止策を検証せよ」という論文を掲載していただきました。その最後で「行政をただす報道を望む」という項目で次のように論じました。
「私は4年前から児童相談所と警察等との全件共有と連携した活動を求める活動を要望しており、多くの取材を受け私の意見も報道していただいている。4年間でマスコミの関心も大いに高まったが、厚労省や自治体の発表・説明を真に受け無批判の報道も多いと感じている。結愛ちゃん事件もそうだが、起こった事件を防止できなかった原因を分析しそれに基づいた再発防止策を検証する姿勢が少ない。同事件についていえば、児相が警察と連携しなかったことが最大の問題であるはずだが、そこを問題視する記事は少なかった。それよりも児相の人手不足とか、引越した際の引継ぎ方法などピントのずれた問題を、それが原因であるかのように報じた記事が多かった。このような行政に無批判な姿勢は役所の思惑に乗るものだ。先進国の取組も理解の上、事件を防げなかった原因を分析し、それに基づいた再発防止策を検証する報道を望む。」
私は、マスコミの児童虐待問題を報じる姿勢に常々大きな疑問を持ち、取材する記者の方に上記のことを申し上げています。
そもそも、国、自治体が、児童相談所が関与しながら子どもの命を救えなかった虐待事件が起こった場合には「命を救えなかった原因を分析し、それに基づいた再発防止策を打ち出す」ことが必要ですが、それがほとんどなされていません。私の知る限り、平成20年高知県、平成23年大分県が、虐待死事件を検証し再発防止策として、児童相談所と警察、教育委員会等の関係機関と全件共有と連携しての活動を打ち出しましたが、これら以外には、本年に入り茨城県、愛知県、埼玉県等等の府県が全件共有を打ち出すまでは、原因を分析しそれに応じた再発防止策が講じられたように思われません。
国や自治体が悲惨な虐待死事件が起こっても「原因の分析とそれに基づいた再発防止策」を打ち出さないのですが、マスコミもまたそれを検証も批判もせず、役所に都合のいいほとんど効果のない、ピントのずれた「対策(と称するもの)」をそのまま報じているように感じています。
結愛ちゃん事件もそうで、東京都の児童相談所が母親から面会拒否されたときに、警察との連携が進んでいる高知県のように直ちに警察に電話して、警察と一緒に家庭訪問すれば結愛ちゃんは救えたのです。香川県からの引継ぎが悪かったからでも、児童相談所の人員不足が問題でも、専門能力がないからでもないのです。警察に電話一本しない極めて閉鎖的な体質が最大の問題であることは明らかですが、東京都や厚労省が、引継ぎ方法に問題があるなどと言いだすと、それに乗った記事を書いてしまい、他機関との連携を嫌がるのが本音の役所の思惑に乗ってしまうだけの報道・社説が多かったように思います。
事件の原因を分析し、それに基づいた再発防止策が講じられないのが、いつまでも児童虐待が改善の兆しも見えない大きな原因です。最大の責任は、国・自治体のサボタージュにありますが、それを検証も批判もせず、アメリカやイギリスなど先進的な国の取組も知らないまま、役人の思惑に乗った記事を書いてしまうマスコミ(もちろん一部の社・記者の方は除きます)にもほぼ同等の責任があると感じています。