ブログ94 兵庫県・神戸市・兵庫県警察に児童相談所と警察の情報共有を求める要望書を提出しました

 いつも「子ども虐待死ゼロを目指す法改正」の実現に向けた活動にご理解ご支援賜り誠にありがとうございます。

1 本年(2017年)7月28日に兵庫県・神戸市・兵庫県警察あてに、児童相談所、市町村と警察の情報共有と連携しての活動を求める要望書を提出しました。

「兵庫県・神戸市・兵庫県公安委員会あて要望書」

その後県政記者クラブで記者会見しました。当日のNHKのニュースです。

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20170728/5590941.html

 本年5月の埼玉県、埼玉県警察への要望書の提出に続くものです。私どもの要望を受け、埼玉県・さいたま市・埼玉県警察では、協定書を締結し、①一時保護解除事案、②児童が負傷・著しい発育のおそれのある事案、③事件となる可能性のある事案、④保護者の抵抗が予想される事案、⑤その他児童相談所が必要と認めた事案などについては、児童相談所から警察に情報提供することとされました。これは、平成20年から全件につき情報共有が実現している高知県を除いては、私の知る限り、児童相談所から警察への情報提供の範囲が最も広いものだと思います。しかし、ここまで情報共有の対象を広げる必要性を理解したのであれば、なぜ全件情報共有しないのか、かえってこれらの対象に当たるどうかの確認の作業に手間暇がかかってしまうのではないか、という疑問が浮かびます。
 何度も言っておりますとおり、情報共有が実現すれば、子どもが今までより格段に守られるようになります、

まずは、警察が児童相談所が把握している虐待家庭について110番通報や相談を受けた場合や迷子、深夜はいかいの児童の保護等の際に警察官が被虐待児・虐待家庭であることを念頭に子どもの安否確認や保護等適切に応できるようになり、虐待の見逃しがなくなります。
次に、上記①により、警察が取り扱った状況を児童相談所に報告することにより、児童相談所は虐待家庭について自らの活動では知りえない最新の状況を把握することができ、一時保護の判断等を適切に行えるようになります。

 逆に言えば、児童相談所から把握する虐待案件について警察に情報提供がなされない限り、警察はその家庭に110番が入っても虐待を見逃してしまうおそれが常にあり、かつ、その取扱い状況を児童相談所に報告することが出来ず、児童相談所が虐待家庭に係る最新の状況を把握する機会をみすみす失してしまうことになるのです。
 ですから、児童相談所が警察に提供する虐待案件を限定すればするだけ、上記①②により守られる子どもの範囲が限定されてしまうのです。このような政策の合理性を説明することは、児童相談所にはもちろん、厚生労働大臣、知事、市長にも、誰でもできるはずがありません。これが放置され続けているというのはありえないことです(ちなみに児童相談所に寄せられる虐待通告の約4割は警察から通報されたものであり、現在既に虐待案件の多くは警察と「共有」していますので、残りについて共有すべきできない理由がないことは言うまでもありません。)。

2 多くの都道府県・政令指定都市のご担当者(県庁・市役所の部局長さんレベル)と交渉して感じるのは、彼らの多くは全件の情報共有の必要性は理解している、ということです。「よく分かります」と言われる方は多いです。しかし、「現場がいやがっている」ということで難色を示されます。私からは、現場の児童相談所の方に説明させてくださいとお願いしているのですが、なかなかそれはやらせてもらえません。
 現場のいやがる理由は、役人の強固な縦割り体質からくるもので、子どもを守る立場から許されざる反応ですが、一方、彼らは情報共有で負担が増えると考えているようで、それは全くの誤解です。上記のとおり、警察と情報共有すると、児童相談所が把握している虐待家庭につき警察が通常の警察活動で取り扱った状況につき児童相談所に報告がなされることになるのですから、児童相談所は労せずして虐待家庭につき情報を得ることが出来るのです。自分らで案件を抱え込んでいるからこそ、独力で情報収集せざるを得ないのですが、情報共有が実現すると警察から情報が入ってくるのですから、業務軽減になるのです。しかも、情報提供の方法としては、毎月一度、虐待案件の概要を資料で提供(高知県の方法)、USBで提供する(東京都の方法)などによればほとんど新たな業務負担はありません。さらに、私どもが提案している児童相談所と警察で共通データベースを整備すれば、全業務負担はゼロとなります(添付「児童相談所と警察、市町村等の情報共有ネットワークシステムの整備の考え方」ご参照)。
 兵庫県・神戸市には、これから検討していただくことになっていますが、私からは、上記情報共有のメリットとほとんど現場に業務負担が生じないことにつきご説明し、ご理解を得ていく所存です。