いつも「子ども虐待死ゼロを目指す法改正」の実現に向けた活動にご理解ご支援賜り誠にありがとうございます。
6月26日の産経新聞社説に「児童虐待防止 情報共有さらなる一歩を」と題し、すべての案件について情報共有の必要性を主張していただきました。下記をご覧ください。
https://www.sankei.com/smp/column/news/170626/clm1706260002-s1.html
私どもが児童相談所と警察のすべての虐待案件の情報共有を訴え、厚労省・警察庁への要望書の提出、東京都、大阪府、埼玉県等自治体への要望書の提出等を行ってから、徐々にでありますが各自治体で児童相談所から警察へ提供される虐待案件の範囲は拡大されつつあります。しかし、いまだごく一部に限られ、東京都では一時保護解除事案等のみ警察に提供するとしており全体の5%にすぎません。情報共有の必要性は否定したくとも否定できないので、「小出し」にして何とかかわそうとしているのだろうなと感じております。
私が本活動へのご賛同をお願いした方は「なぜ情報共有していないのですか」と驚きや憤りを口にされ、すべての方に署名運動のご賛同者になっていただきました。
https://www.thinkkids.jp/think-kids/link
2年連続国会で、児童相談所と警察の間のすべての情報共有に向けて検討するよう附帯決議が付けられ、塩崎厚生労働大臣が前国会で「方向としてはできる限りの共有はしないといけないというふうに思っています」と答弁されても、児童相談所は応じようとしません。役所の縦割りの弊害、これまでのやり方を変えたくないという小役人的体質は我が国の最大の弊害です。こんなことへの抵抗にエネルギーを使うのでなく、子どもを救うことにエネルギーを使ってほしいと心から願います。
私がお願いした厚労省や自治体の方(児童相談所でなく県庁の担当部局)の多くは、「現場が反対しているので・・・」と口にされます。「警察はトップが指示すればそれでいいのでしょうが、自治体はそうもいかなくて」ともよく聞きます。「それを何とか説得するのが上の務めでしょう」、と言いたくなるのを押さえて、何とか説得していただくようお願いし、さらには、私から直接児童相談所の現場の方にお願いさせていただけないかなどと頼んでいるところです。
そうした中で、全国紙の社説で「すべての案件の情報共有」を主張していただいたことは誠にありがたく心強く感じております。是非、警察との情報共有に反対の児童相談所の現場の方には、すべての案件につき情報共有する必要があることについて、上記のとおり様々な立場の多くの方が賛成し、国会で2年連続その旨の附帯決議がつけられ、塩崎大臣が前向きに答弁され、さらには全国紙でも同様の社説が出されている、ということに是非気づいていただき、「自分たちの姿勢はおかしいのかな」と感じてほしいです。
多くの児童相談所は「児童相談所が必要と判断した案件」についてのみ警察に提供しておりそれで十分であると主張し、厚労省もそれを追認しています。しかし、何度も言っておりますが、児童相談所が把握した時点で、いずれの事案が将来虐待死その他の深刻な事案に発展するかを的確に判断することなど決してできません。把握した当初の時点で、すべての情報を把握しているわけではありませんし、その後の事情で急速に虐待が激しくなることも当然にありうるからです。これまで児童相談所が知りながら虐待死を防げなかった案件のほとんどは児童相談所が大したことがないとして警察に情報提供していなかった案件なのです。
だからこそ、本来救えるはずだったのに犠牲になった子どもたちの死を無駄にしないためにも、児童相談所は真摯に再発防止策を講じる責務があるはずです。そして、再発防止策の主要なものは関係機関で全件情報共有することであることは明らかです。
そして、全件情報共有することに何の支障もありません。全件情報共有は、アメリカやイギリスでは当然のこととして、日本でも高知県・高知市や明石市では既に実施されています。児童相談所の負担になることもなく、メリットが大きいのです。
情報共有の範囲を限定することは関係機関が連携して守るべき子どもたちの対象を限定することになります。どうか、そのような限定をすることなく、児童相談所が把握している虐待を受けている子どもたちについてはすべて関係機関が情報共有して連携して守ることができるように強くお願いする次第です。