いつも「子ども虐待死ゼロを目指す法改正」の実現に向けた活動にご理解ご支援賜り誠にありがとうございます。
既にご連絡しておりますとおり、2017年5月17日に自由民主党埼玉県連に、19日に埼玉県・埼玉県警察あてに、「児童相談所と市町村、警察の情報共有と連携しての活動を求める緊急要望書」を提出し、県政記者クラブで記者会見しておりましたところ、6月15日に、埼玉県、さいたま市、埼玉県警察で「児童虐待事案の未然防止と早期対応に向けた情報共有等に関する協定書」が締結されました。
下記をご覧ください。
https://www.sankei.com/region/news/170520/rgn1705200028-n1.html
https://www.sankei.com/affairs/news/170616/afr1706160007-n1.html
https://www.sankei.com/region/news/170616/rgn1706160051-n1.html
協定書は次のとおりです。
埼玉県、埼玉県警察さんには、私どもが要望しておりませんでしたさいたま市も含めて協定を締結していただき、しかも、1カ月弱での迅速なご対応には大変感謝しております。特に、足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件の起訴後に私どもが要望してから1年半近く経ってからごく一部に限られた情報提供しかしない東京都に比べ、格段に誠実な対応です。さいたま市さんも同様で、深く感謝申し上げます。
しかしながら、極めて残念なことに、児童相談所から警察に情報提供される対象が、「児童に負傷又は著しい発育の遅れが認められる事案」、「事件となる可能性のある事案」など一部に限定されてしまいました。そこで、6月20日付けで次のような、全件の情報共有を求める要望書を再提出いたしました。
以下同要望書に記載のとおりですが、このままでは、昨年発生した狭山市羽月ちゃん虐待死事件のような事案の再発防止は図ることはできません。羽月ちゃん事件は、狭山市や警察が把握した時点では、本協定で情報提供の対象とされている「児童に負傷又は著しい発育の遅れが認められる事案」、「事件となる可能性のある事案」その他のいずれにも該当しないことから、このような事案を児童相談所が把握しても警察には知らされないことになってしまいます。
警察に情報提供がなされれば、警察がパトロール、各種相談の受理、110番の受理、近隣トラブルへの対応、迷子の保護、事件捜査など様々な活動中に児童相談所が把握する被虐待児やその保護者、同居人等の関係者の事案を取り扱った場合には、現場で対応する警察官が虐待にかかわる事案であることを前提に適切に対応することができるのみならず、児童相談所にその状況を通報することも可能となります。一方、このままでは児童相談所が抱え込むだけの案件がこれまでどおり多数残ることととなり、被虐待児の安全も図れず、児童相談所が入手できるはずの情報も入手できないことになってしまうのです。
児童相談所が把握した時点で、いずれの事案が将来虐待死その他の深刻な事案に発展するかを的確に判断することなど決してできません。児童相談所だけでなくあらゆる機関もそのようなことは不可能です。把握した当初の時点で、すべての情報を把握しているわけではありませんし、その後の事情で急速に虐待が激しくなることも当然にありうるからです。だからこそ、関係機関で全件情報共有することが必要なのです。また、全件情報共有することに何の支障もありません。全件情報共有は、アメリカやイギリスでは当然のこととして、日本でも高知県・高知市や明石市では既に実施されています。
また、一時保護解除事案について、警察が通告した案件についてのみ情報提供の対象とされていることは正当な理由がありません。一時保護解除事案については、子どもを家庭に戻した後に再び虐待を受けることのないよう家庭環境について事前に綿密な調査が、かつ、戻した後には頻繁な家庭訪問による安全確認が必要であり、この必要性は警察が通告した案件かどうかにかかわりません。
情報共有の範囲を限定することは関係機関が連携して守るべき子どもたちの対象を限定することになります。どうか、そのような限定をすることなく、児童相談所が把握している虐待を受けている子どもたちについてはすべて関係機関が情報共有して連携して守ることができるよう、具体的には、児童相談所が把握している虐待案件については警察に全件情報提供し、一時保護解除事案についても事前に警察に全件情報提供するよう、本協定を速やかに改正していただきますようお願いする次第です。