ブログ80 NHKでの法案問題点指摘、国会議員の方々に今国会での政府案の修正を求める緊急要望書をお送りしました

 いつも「子ども虐待死ゼロを目指す署名活動」にご理解賜っておりますことに厚くお礼申し上げます。

1 5月5日のNHK「時事公論」で村田解説委員が、「虐待から子どもを守るために」というテーマで、今国会に政府から提出された児童虐待防止法等の改正案について、

厚生労働省は、児童相談所が把握した虐待の情報を警察と共有し、協力して子どもの保護にあたるように法律や制度を見直してほしいと思います。

とご指摘いただきました。詳しくは下記をご覧ください。

https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/243780.html

 これだけ子ども虐待死が続いている中で、国会に提出されている政府の法改正案が、子ども虐待死・子ども虐待のエスカレートの抑止に有効なものであるかどうかは、マスコミは検証し報道する責務があるのではないでしょうか。他のマスコミも検証報道をお願いします。

2 昨日から本日にかけて、衆議院・参議院の厚生労働委員会の委員長、理事全員、一部の委員の方々30数名に、添付の「国会での修正を求める緊急要望書」と拙著「子ども虐待死ゼロを目指す法改正の実現に向けて」をお送りいたしました。
 添付をクリックして見ていただければと存じますが、現行の仕組みは下図のとおりで、児相は警察に殆ど情報を提供せず、警察は一部しか把握していません。そのため下記①のような児相の把握している家庭に110番が入っても警察官が親に騙され虐待を見逃しその直後に子どもが殺されるような事件が起こっているのです。

thinkkids20160510

① 児童相談所が把握している虐待家庭について110番が寄せられても、
警察官が家庭に駆け付けた際に親から「夫婦げんか」などと騙され虐待を見逃してしまい、直後に子どもが殺害される事件も発生するなど(2014.1東京都葛飾区虐待死事件等)、住民からの貴重な通報が死蔵されています。また、家出・深夜はいかいの子どもを警察官が保護した際、警察官が巡回連絡する際も同様の問題が生じています。
 その結果、住民が警察に通報した場合は警察が的確に対応できるの に、児相に通報した場合は警察が虐待見逃しリスクを負ったままという、児相が情報提供を拒むことにより子どもを守ることができない事態がもたらされているのです。

② そして、このことにより警察が110番対応、家出等の子どもの保護、
巡回連絡等の活動を通じて把握した虐待家庭・被虐待児の状況を児相にフィードバックできず、児相が正確な虐待リスクを把握する機会を自ら放棄しています。

③ さらに、情報共有が実現した場合でも、児童相談所は児童福祉司1
人当たり140件もの案件を抱え、多くのケースで家庭訪問すらできず、児童相談所が知りながらみすみす虐待死させられる事案のみならず、虐待の継続が防止できない事案が少なくないことから、児童相談所、警察、市町村が連携して可能な限り家庭訪問し、子どもの安否確認、親への指導支援を行わなければ、虐待死はもちろん虐待の継続は抑止できません。

 また、子ども虐待通報ダイヤル「189」が活用され、児童相談所への通報が増えれば増えるほど、児童相談所が今までどおり案件を抱え込み続けるならば、益々家庭訪問すらできない案件が増えるだけで、事態は益々悪化するだけ。

 早ければ、来週11日の水曜日から、衆議院の厚生労働委員会で、児童虐待防止法等の改正案が審議される予定と聞いております。そこで、議員の方々には、政府案で果たして、子ども虐待死・虐待のエスカレートの抑止が図られるのか、児童相談所と警察との情報共有と連携しての活動なくして、今回の改正は効果があるのか十分にご議論いただきたいと強く望みます。
 前のメールでお知らせしましたように、4月20日の衆議院厚生労働委員会で公明党の古屋範子議員からご質問していただいておりますが、塩崎厚労大臣の答弁では、ごく一部の情報共有にとどめる意向のようです。是非国会でご議論していただき、国会で政府案を修正し、下記の規定を追加していただくことを強く期待します。

第○条1児童相談所長は、通告を受けた虐待案件について、当該案件の児童の現在地の警察署長(以下「警察署長」という。)に通知するものとする。

 厚労省・警察庁は、これだけ虐待により子どもが殺されているというのに、こんな規定すらいやだ、児相は虐待情報を提供したくない、警察は虐待情報は受けたくないというのでしょうか。本気でしょうか? もしそうなら、国民の代表である国会で、是非とも、子どもを虐待から救うための仕組みを法律で作っていただきたいと思います。

このメールは後藤啓二と名刺交換等させていただいた方にお送りしております。ご不用の方はお手数ですが下記までご連絡下さいますようお願いいたします。

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後藤啓二
NPO法人シンクキッズー子ども虐待・性犯罪をなくす会
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