いつも「子ども虐待死ゼロを目指す法改正を求める署名活動」にご理解賜っておりますことに厚くお礼申し上げます。
さて12月21日に、厚労省の虐待対策室長さんにお会いして、本年に入りお寄せいただいた8,475名分の署名及び法改正を求める要望書を提出し、私どもの求める法改正案を、厚労省が次期国会で予定している法改正に盛り込んでいただくようお願いしました。その後、警察庁、文科省、総理官邸にも提出し、お願いいたしました。
要望書と、求める法改正の内容については下記をクリックしていただければと存じます。
特に、法改正案については条文化しておりますので、より具体的にイメージしていただけると思います。また、各条項につき法改正が実現すれば、防げた可能性が高い虐待死事件や参考法令も記載しておりますので、是非ご覧いただければと存じます。
この法改正案については、私から事前に厚労省と警察庁の幹部の方にも直接説明して受け入れていただくようお願いしております。
何度も言っておりますとおり、子ども虐待は一つの機関で対応することは不可能で、児相と市町村、警察、学校等が情報共有して連携して取り組まなければ、いつまでも、児相が知りながら虐待死を防げないという事件は後を絶ちません。
また、児相が警察に情報提供しない現状では、110番通報や深夜はいかいの子どもの保護等日常活動で虐待親や被虐待児と接する機会の多い警察が虐待を見逃すリスクがなくならず(東京都葛飾区愛羅ちゃん虐待死事件など)、折角の住民の通報も生かすことができないままです。警察に虐待通報があった案件(全体の約30%にも上ります)については、警察が本部通信指令システムにこれらの案件を登録することにより、当該家庭につき110番が入ったときには虐待家庭である旨現場に向かう警察官に指示できることから適切に対応することが期待できる一方、児相に通報された案件のみが見逃しリスクを負ったままとなり、児相を通告先とすることの妥当性に疑念が生じてしまいます。
児相と警察が情報共有して連携して対応することは、児相の業務軽減となる一方、警察の新たな負担となりますことから、警察が受け入れることに躊躇されることは無理からぬことと思います。新たな業務が増えることは間違いありませんが、まさにその警察が引き受ける新たな業務の結果として、虐待死や虐待のエスカレートが減ることは確実なのですから、虐待死事件や虐待事件の殺人や傷害の事件捜査が減ることもまた確実なのです。そうだとすると、警察全体にとって、業務量が必ず増えるとも言い切れないと思います。
ストーカー対策にしても、ストーカー規制法成立前は、ストーカー行為を法律に基づいて警察が事前に警告や指導により解決することができず(現在は8、9割が警告等により解決しています)、犯罪行為に発展させてからようやく捜査・検挙するしかないのです。実際に、ストーカー規制法ができるまでは、相談を受けた警察官が「殴られたら来てください」と被害女性に言うことが多くありました。このような対応は、女性の被害を放置し拡大することになるだけでなく、警察の業務負担の面から言っても、みすみす多くのストーカー事件を刑事事件に発展させてから、捜査することになり、警察にとっても大変な業務負担となるのです。重大犯罪に発展させない段階で対処することは、被害者を助ける・守るという観点のみならず、警察全体の業務負担の観点からも合理的なのです。
子ども虐待も同様です。このまま児相に任せていては、いつまでたっても虐待死や虐待のエスカレートは抑止できず、警察が刑事事件として捜査しなければならないケースが増え続ける一方なのです。警察が児相を助け、情報共有して連携して対応することにより、子どもが救われるのみならず、警察全体の業務量もトータルで見れば、ストーカー対策と同様、軽減するのではないでしょうか。
さらにいえば、警察が虐待されている子どもを守るために、児相と連携して取り組むという姿勢を示し、結果を出すことにより、国民の警察に対する信頼がより高まることは確実で、警察全体の業務遂行にとってもメリットがあるのではないでしょうか。
警察庁には、是非子どもを守るため、私どもの法改正案を受け入れていただくようお願いいたします。また、厚労省には、警察庁にこのような法改正を受け入れてくれるよう、申し入れていただき、協議を進めていただくようお願いいたします。
この改正が実現することにより、虐待死させられる子どもゼロ、虐待される子どもの大幅減少と虐待された子どもが前向きに生きていくことができる社会の実現(結果として、虐待による社会的コスト(年間1.6兆円との研究あり)の削減と労働力喪失の回避が実現)に向けて大きく踏み出せると確信しております。
ご理解ご支援賜りますようお願い申し上げます。