いつも「子ども虐待死ゼロを目指す法改正を求める署名活動」にご理解ご協力を賜っておりますことに厚くお礼申し上げます。
このたび、東京都小学校PTA協議会さまにご賛同者におなりいただきました。心より厚くお礼申し上げます。
1 2015年9月15日の毎日新聞によると、長崎で10歳の女児が、母親にライターの火で左肩を焼かれるなどして、病院から通報があり、児相が母親の通所指導を始めたが、2回で応じなくなり、指導を打ち切る、その後母方の祖母から髪をつかまれ引きずられる虐待を受け、女児が学校に相談、要保護児童対策協議会が開かれ児相に対して一時保護を求める声が次いだが、児相は応じなかった、女児は父方の伯母と協議して児相に慰謝料として損害賠償を求め提訴したと報じられています。
勇気ある女児とその伯母さんに心から敬意を表します。この事件は、私どもの求める法改正の項目3
児童相談所が一時保護を子どもの命を最優先として行うようにする
(1) 児童相談所は、一時保護、施設入所及びそれらの解除の判断に当たっては、子どもの安全を最優先とし、特に親に虐待歴やDV歴、精神疾患がある場合、調査拒否された場合、暴力的な男と同居している場合など虐待の継続が懸念される合理的な理由が認められる場合には、子どもの安全確保に最大限配慮しなければならない。また、親に引き渡す場合には、警察、市町村の協力を得て、定期的な子どもの安否確認、親への指導等子どもの安全確保の計画を事前に策定し、引き渡し後も継続的に子どもの安否確認と親への指導・支援を行わなければならない。
(2) 児童相談所は、医師から虐待の疑いが強いとの見解を得た場合には原則としてその見解に従うものとし、保育所・幼稚園・学校、病院、市町村から保護に関する意見を受けた場合にはその意見を尊重するものとする。
の必要性を如実に示すものです。虐待を受けている子どもの生命、身体を守る最後の手段は一時保護で、その権限は児相にしか与えられていません。しかし、児相の一時保護の運用は極めて消極かつ独善的で、親の反発をおそれるあまり、あるいは単なる怠慢で(本件で母親が通所しなくなったにもかかわらず打ち切るというのは理解に苦しみます)、医師や学校、市町村、警察等他機関の意見も聞かず、みすみす子どもを虐待死させる事案が続き、全く反省し、改善されることがありません。
その一つの理由は、たとえばストーカー被害を受けていた女性が警察の不手際で殺害された場合、親が仇をとってやると立ち上がり、警察を批判し、訴訟を起こし、法律の制定等を求め、それにより法改正や警察の取組の改善が見られますが、子ども虐待の場合、本来立ち上がるはずの親が加害者なので、誰も児相を批判しないのです。マスコミも事件直後は報じますが、それっきりですし、虐待問題に関わる人々の多くもなぜか児相や厚労省を批判することは差し控え、法改正の要望をすることも極めて稀です。そのため、児相や厚労省は平然とこれまで通りの対応をしつづけているのです。本件の女児と伯母さんの訴訟提起は、そういう意味で、児相や厚労省に本来反省しなければならないにもかかわらず、反省せずにすんでいたこれまでの状況を変えるものであり、大変勇気ある、素晴らしい取組みです。
2 そもそも、一時保護というのは子どもを守るための最後の手段であり、子どもを守るために適正に行使されなければならないことは当然で、児相の裁量で適当に行使されるものであってはなりません。子どもの安全最優先という考えのもと、子どもを守るために必要な基準に従って行使されなければならないことは異論のないことと思います。そして、その基準はこれまでの児相の不適切な行使の実例を踏まえて策定されるべきものということもご理解いただけるものと思います。それを示したのが上記の私どもの法改正案です。
本件では、病院、学校の通報があり、要対協で多くの機関が一時保護すべきとの意見であったにも関わらず、児相は保護せず、女児に対する虐待を止めようとしませんでした。
要対協を設置しようが、情報が共有されようが、適切に一時保護を運用しなければ、子どもを守ることができません。そのためには、法律で児相の一時保護の基準を定め、他機関の意見を尊重することを義務付けなければ、折角の通報も情報共有も意味ありません。
現状は、児相と他機関の情報共有が十分になされていない状況ですので、まずは他機関との情報共有がなされなければならないのですが、数少ない情報共有がなされた案件でもこのていたらくです。
私どもの求める法改正が実現していれば、本件の長崎の女児は、学校や要対協の各機関は一時保護を児相に求めていたということですから、一時保護されたでしょうし、前のメールで紹介した千葉県で一時保護を解除された直後に乳児が殺害された事件では、乳児は殺害されることはなかったでしょう。
これだけずさんな一時保護の運用を続け、子どもを虐待にさらし続ける児相に対しては、上記の法改正により、一時保護を子どもの命を最優先として行うようにし、他機関の意見を尊重すること等を義務付けるしかありません。
子どもに関わる機関は児相だけではありません。多くの機関は児相の一時保護すべきときに一時保護せず、解除すべきでないときに解除して、子どもを虐待死させてしまう失敗をし続ける児相に、怒り、嘆き、なんとかならないのか、我々の意見をちゃんと聞け、と怒っているのです。
私は、誰が見ても危険だろうという事案について子どもを一時保護しない児相に不安を感じた医師の方から相談を受け、一緒に児相に行き、一時保護するよう申し入れ、一時保護させたことがあります。私のような者が動かないと、子どもを心配する医師の方や学校等他機関の意見に聞く耳を持たないのです。このような児相にこれまでどおりの対応をさせ続ければ、いつまでも子どもは虐待にさらされ続け、虐待死に至らしめられてしまいます。
わたくしどもの「子ども虐待死ゼロを目指す法改正」にご理解ご支援を賜りますようお願い申し上げます。