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1 2015年5月20日、足立区の両親が次男の玲空斗くん(当時3歳)をウサギ用ケージに閉じ込めた上、タオルで窒息死させた虐待死事件(殺害は2013年3月頃)で両親が監禁致死罪で起訴されました。警察が1年にわたり遺体捜索を河口湖、荒川で長期間行うなど懸命な捜査をして、遺体は発見されないにもかかわらず、起訴にこぎつけた執念には感服しますが、つくづく思うのは、児童相談所と警察が連携して一緒に頻繁に家庭訪問していれば、玲空斗くんはこんな酷い殺され方はしなかったということです。
5月1日の毎日新聞によれば、足立児相は11回家庭訪問したが2回しか子どもに面会できなかったといいます。2014年6月27日読売新聞などによれば、足立区が9回電話したが会えず、足立児相は家庭訪問の間隔を5ケ月も空けて、しかも子どもに面会できなかったにもかかわらず、そのままとし、次の家庭訪問まで半年近くも空けるなどし、2013年3月頃には殺されてしまったとされています。家庭の状況をみれば容易に危険な保護者であることは分かっていたはずですが、案件を抱え込み子どもをほったらかしにしていたのです。
2 これまでも多くみられるこのような事件における児相の対応をみていると、家庭訪問しましたが子どもに会えませんでした、電話はしましたとか、訪問しましたが留守でしたという対応が目立ちます。一般の人は、児相が面会拒否されたら代わりに警察に行ってもらう、留守なら引越ししていない限りそこにいるのですから粘り強く待つ、夜に訪問するなど、なぜしないのかと感じておられると思います。留守でよかったと思っているのではないかとすら感じられます。警察なら24時間対応で、子どもの命がかかっている案件で、「留守でした」と言って、署に帰ってくる警察官などいません。「子どもの無事を確認するまで帰ってくるな」と上司に怒鳴られるだけです。
そもそもこんな暴力的な親に対しては児相の指導で虐待が止まるはずもなく、警察官が強く警告してもどうかという事案で、早期の一時保護、警察による逮捕が必要な事案です。足立児相と警察の連携はどうだったのか検証しなければなりません。
3 繰り返しますが、児相が警察と情報共有し、連携して活動していれば、玲空斗くんは救えたはずです。こんな酷い殺され方をすることはなかったはずです。親が面会を拒否しても警察官なら児相の職員のようにあっさりと引き下がることもありませんし、警察官が家庭訪問すれば、この親もこのまま虐待を続けると逮捕されると考え、虐待をしなくなったでしょう。人員の少ない児相だけの家庭訪問では当然頻度も少なくなるし、虐待の継続・エスカレートを防ぐ効果がないことが多いのです。児相の職員だけの訪問で虐待を止める親は、そもそもそれほど問題のない親です。危険な親ほど、児相が案件を抱え込まず、警察と連携して頻繁に家庭訪問をしなければ、虐待の継続は止まりません。このような最悪の結果となってしまうのです。
4 東京都内では、昨年1月の葛飾区愛羅ちゃん虐待死事件でも、児相は把握していた愛羅ちゃんの家庭に関する情報を警察に提供せず、110番通報で駆け付けた警察官が親に「夫婦喧嘩だ」と言われ騙されて、体に40か所ものあざがあった愛羅ちゃんの体を調べず、そのまま帰り、その5日後に虐待死させられる事件が起こっています。
それでも、東京都は警視庁に情報提供したとは聞いていません。警視庁も東京都に虐待情報の共有を申し入れているのでしょうか。このような児相に任せていては救えるはずの子どもの命がいつまでも救えないことになってしまいます。警察もそれは分かっているはずです。児相はもちろん警察も、このまま情報共有もしないままいるのであれば、今後同様の事件が起これば、子どもを虐待死から守るため当然なすべき義務(最低限の義務としての虐待情報の共有)を果たしていなかったとして業務上過失致死罪に問われるのではないでしょうか。私はこのことを再三言っていますが、気にもしていないようで、リスク管理に敏感な企業ならあり得ない対応です。お役所は全く・・・。
さすがに、今回の足立区の事件で、東京都は警視庁に情報共有と連携しての対応を申し入れるのではないかと思いますが・・・甘いか、やはり何も動かないように思いますので、上村君事件を受け川崎市長と神奈川県警察本部長あてに提出した緊急要望書と同様の「虐待情報の共有と連携しての活動を行う協定」の締結を求める要望書を提出したいと思います。しかし、このような取組はすべての都道府県で必要ですので、やはり法改正が急務です。「子ども虐待死ゼロを目指す法改正を求める署名運動」にご理解ご支援のほど何卒よろしくお願いいたします。