いつも子ども虐待死ゼロを目指す法改正の署名活動にご協力賜っておりますことに厚くお礼申し上げます。
まず、前回のブログでご報告いたしましたように、シンクキッズの公式フェイスブックを開設いたしました。より多くの方に「子ども虐待死ゼロを目指す法改正」に向けた署名活動を知っていただき、法改正の実現にご協力いただくため、下記をクリックし、「いいね」ボタンを押していただくようお願いいたします。
Think Kids公式Facebookページ:https://www.facebook.com/thinkkidsjp |
1 さて、4月23日(木)午後6時半から、構想日本のJ.Iフォーラム「暴力と虐待にどう向き合うか」に登壇してまいりました。
本フォーラムでは、日本駆け込み寺を主宰しておられる玄秀盛さんと二人で、司会の加藤秀樹さんとトークショーのような形で、話をしました。
玄さんはご存知の方も多いと思いますが、新宿・歌舞伎町で出所者やDV、虐待等様々な暴力を受けている人からの相談に応じ、相手に説得に行くことも含めてその解決に体を張って活動をされている方です。このような方に救われた人もかなりの数に上ります。私は、お話を聞いて、素晴らしい取組みだと感銘を受け、会場からも玄さんのような人を増やしていくことが必要と言う声が多く上がりました。
私もまったく同意見です。地域に昔はいた長屋の大家さんや地域の世話焼きのおじさんおばさんがいなくなり、虐待その他の家庭内暴力の被害を受ける子どもや女性を救う人がいなくなったことが、特に虐待の深刻化の原因でしょう。
ただ、虐待から子どもを救うためには、玄さんのような人を増やせばいいんだと考えるだけでは不十分なこともまた確かです。当日私は何度も「玄さんは稀有な存在です」と言いました。このような素晴らしい取組みをする方を増やしていくことに目途があるわけではありません。そもそも地域からこんな方がいなくなったことが、虐待やDVから子どもや女性を守ることができなくなった原因なのですから。
確実に子どもを救うためには、このような稀有な方の出現をただ期待するのではなく、制度として子ども救う仕組みを構築することが必要で、それが責任ある大人の姿勢だと考えます。
わたしども大人の一人ひとりが、自分の立場、能力、適性、経験に応じ、子どもを虐待から救うために可能な取組みを行うことが、われわれ大人に求められていると考えます。
2 また、当日の配布資料は次のとおりです。
■法改正を求める活動の概要と今後の方針(2015.4構想日本J.Iフォーラム配布資料)
※上記をクリックすると、配布資料をご確認いただけます。 |
当該資料には児相と警察が連携しない理由として「強い縦割り意識」と指摘していることについて、会場から「なぜですか」と質問がありました。私は、「公務員でない方には決してご理解できないと思いますが、官は連携しないのが普通なのです。連携しようとすると部内で「余計なことをするな」みたいな対応をされます」という旨の回答をしました。その方は到底納得できないというお顔をされておられましたが、ごく一部のやる気のある人を除いては、そうですね。
虐待情報の共有問題について言えば、警察から児相には100%情報提供しているのに対して、児相からは高知県を除いて警察に情報提供されていません。児相の体制が貧弱で、児童福祉司1人当たり140件もの案件を抱えているにもかかわらず、警察に情報提供して協力を求めようとせず、案件を抱え込み、虐待家庭の家庭訪問もせず、みすみす虐待死させる事件がいつまでもいつまでも続いています。それでも警察と連携しようとしないのです。ここまで連携しようとしない児相及び厚労省の考えは理解不能です。配布資料にはその理由として考えられる縦割り意識の具体的内容として、
1 他機関に自らの対応を見られ不適切な対応が明らかになることを嫌がる意識
2他機関との連携で事態が改善すれば己の立場がないという意識
3「福祉的配慮」「教育的配慮」の名の下に問題を抱え込み、被害児童を他機関と連携して救おうとせず、放置することを正当化する意識
があるのではないかと書きました。
(3にある「教育的配慮」とは学校に関するものですが、)要するに、児相(あるいは学校)は、自分らだけで対応して(案件を抱え込んで)子どもが救えなかったらそれは仕方がない。警察と連携する義務など法律に書かれていないのだし、警察と連携して改善すれば、今まで何をしていたんだと責められるし、自分たちの無能が明らかになってしまう、と考えているのかもしれません。中には、戦前の特高警察はひどいことをしたから警察とは協力すべきでない、たとえ子どもを守るためであっても、とでも考えている子どもの命よりもイデオロギーを優先する人もいるのかもしれません。
さすがに、子どもを守る職責にある立場の者が、ここまでひどいことはないのではないかとお考えの方もおられると思うのですが、私どもが求めている法改正の主要項目である「児相と警察の情報共有と連携しての活動」は、人手不足でかつ暴力親に対応するスキルも適性もない職員で構成され、既にパンクしている児相にとって、大喜びしてくれそうな案であるにもかかわらず、厚労省、全国の児相のいずれも(高知県を除いて)、反対といいますか、迷惑であると言わんばかりの態度をとっているのです。私は、私どもがこのような法改正案を出せば、厚労省も全国の児相は、喜んで警察庁や県警に「情報提供するから是非連携して子どもを守る取組をしてほしい」と頼みに行くだろうなと思っていましたが、そんな人は一人もいなかったのです。このような態度を見せつけられれば、私ならずともあながち本当に厚労省や児相はこう思っているのではないかとお考えになるのではないでしょうか。
私もそうでないことを望んでいますが、それなら、すぐにでも、私どもの法改正に賛成と言っていただき、厚労省は警察庁に協力依頼に行き、共に法改正の実現に努め、それが実現するまでの間、都道府県の児相は警察に協力依頼に行き、協定を結び、情報共有と連携しての活動に直ちに取り組むことを求めます。
高知県に続いて、私が要望書を提出するなどお願いした川崎市と神奈川県警察及び名古屋市と愛知県警察との間で、警察と児相の虐待情報の共有と連携しての活動についての協議がはじめられようとしています。高知県の児相は以前から警察に対して情報提供しており連携に前向きです。川崎市と名古屋市の児相も是非警察に情報提供して、連携して活動することに踏み出してほしいと思います。警察は自分の負担となっても、虐待から子どもを救うためにやる気でいるのです。案件を抱え込むだけの児相の対応を見ていられないのです。見て見ぬふりをしていられないというのが多くの心ある警察官・警察職員の思いなのです。私も協力は惜しみません。是非、厚労省と児相は、案件を抱え込まず、警察との情報共有と連携して子どもを守る取組に踏み出してください。